【研究者の論点 日本海運経済学会】(22)関西外国語大学准教授・堂前光司、日本の港湾後背地設定、ティーセン・ポリゴンから考察
港湾後背地(Port Hinterland)の適切な設定は、例えば、港湾間の貨物流動分析を行う上で、極めて重要である。港湾後背地の形成や空間構造を規定する要因として、まず物流システムが挙げられるが、…
【研究者の論点 日本海運経済学会】(21)東京大学大学院工学系研究科講師・川崎智也、コンテナ荷動きデータの利用、ソース別の差異に注意
コンテナ荷動きデータは、利用ニーズが最も多い海事データの一つである。コンテナ荷動きデータには多くの種類があり、それぞれの特性により荷動き量に乖離(かいり)が存在するため、利用に際しては注意が必要であ…
【研究者の論点 日本海運経済学会】(20)高崎経済大学教授・小熊仁、都市間輸送の在り方、より一層の航空網活用を提案
沿線人口の減少やモータリゼーションの進展に伴い、鉄道会社は苦しい経営を余儀なくされている。このうち、わが国の鉄道ネットワークの大半を担うJR各社は1日当たりの輸送密度が2000人未満の線区を「維持困…
【研究者の論点 日本海運経済学会】(19)神戸大学大学院海事科学研究科准教授・石黒一彦、日本経由シー&エア輸送、犠牲量モデルで実現可能性分析
日本海運経済学会の会員は海運を専門とする者ばかりではなく、海運以外の輸送モードを専門とする者も多い。筆者は海運や港湾が専門で航空輸送には不案内だが、最近は航空や空港を専門とする方と協力し合うことで国…
【研究者の論点 日本海運経済学会】(18)日本大学経済学部教授・手塚広一郎、空港業務の人材不足対策、時間軸分け取り組み主体明確化
交通・輸送産業では、人手不足と人材確保が喫緊の課題となっている。船員不足は周知の通りであるし、トラックドライバーも「2024年問題」に直面している。空港でも同様に、グランドハンドリング(グラハン)や…
【研究者の論点 日本海運経済学会】(17)近畿大学経営学部教授・横見宗樹、コロナ禍の航空貨物輸送―学術研究では存在感にギャップ
航空貨物輸送がコロナ禍で経験したことを振り返ると、旅客需要の蒸発に直撃を受けたことは記憶に新しい。輸送の重要な担い手は旅客機のベリー(床下貨物室)であり、IATA(国際航空運送協会)によると世界の航…
【研究者の論点 日本海運経済学会】(16)流通科学大学商学部教授・田中康仁、内航海運の将来の輸送需要、船種によっては先細りも
昨年8月の本欄(執筆者は石黒一彦・神戸大学大学院准教授)でも紹介のあった内航海運研究会の事務局長として、石黒会長と共に活動を続けている。研究会では、船員不足の問題をはじめ、内航海運業界が抱える喫緊の…
【研究者の論点 日本海運経済学会】(15)東京大学大学院工学系研究科准教授・柴崎隆一:スエズ運河庁への協力、国際的な官学連携の理想形
日本海運経済学会のメンバー回り持ちで月1回の本連載を開始して、1年余りが経過した。本連載の当初の問題意識が産学連携、あるいは産官学連携にあったということで、今回は最近の筆者の個人的な実務への関わりに…
【研究者の論点 日本海運経済学会】(14)拓殖大学商学部教授・松田琢磨、データセットの構築、産業や政策対応の分析深める
海運業は長い歴史を持つ。しかし、コンテナ輸送は産業の始まりから50年強で長くない。そのため、過去の記録や既存データを組み合わせて一貫したデータセットを構築することで、産業初期からの市場構造や、参入・…
【研究者の論点 日本海運経済学会】(13)東京海洋大学大学院海洋科学技術研究科教授・寺田一薫、「活動の幅」の視点、離島航路維持への政府の役割は
離島航路に限らず、鉄道ローカル線、乗り合いバスを含め、地方の公共交通維持の困難について、報道を目にしない日はない。最近、政府・自治体が責任を持って計画を策定し、先験的に維持すべきサービス内容を決める…
【研究者の論点 日本海運経済学会】(12)九州産業大学商学部准教授・朝日亮太。暫定措置事業廃止、航空産業から考える競争と協調
内航海運で1998年に船腹調整事業が廃止され、暫定措置事業に移行した。そして、この暫定措置も2021年8月に終了した。これは、内航海運における競争を促進するという見方がある。競争により事業者の経営効…
【研究者の論点 日本海運経済学会】(11)福岡大学商学部准教授・鈴木裕介、国際海運のGHG削減手法、俯瞰的な視点での議論が必要
2015年に合意した温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」を契機に、IMO(国際海事機関)は国際海運からの温室効果ガス(GHG)の排出量を50年までに08年比で50%以上を削減する目標を掲げた。また日…
【研究者の論点 日本海運経済学会】(10)関西外国語大学准教授・堂前光司。順位・規模法則から見た世界の港。わが国の港湾政策にとっての示唆とは
順位・規模法則とは、「ある1次元データを大きい順に並べた時(x〈エックス〉1,x2,x3,...,xn)、k番目に大きなデータ(xk)が1番大きなデータ(x1)の1/k(k分の1)になる」という現象…
【研究者の論点 日本海運経済学会】(9)東京大学大学院工学系研究科講師・川崎智也。港湾の重要性、ネットワーク構造からも評価を
コンテナ港湾の重要性評価には、年間取扱量や(基幹)航路数などの指標が用いられることが多い。それらは重要な指標ではあるが、「その港湾を介さないと目的地までたどり着きにくくなる港湾が多数発生する」という…
【研究者の論点 日本海運経済学会】(8)高崎経済大学准教授・小熊仁、離島航空の便益算定、サービスの真の価値把握が必要
離島航空は離島と本土間、あるいは離島相互間の近接性を確保し、離島の日常生活を支える上で必要不可欠な輸送手段である。しかし、利用者が限られているため、その経営基盤は脆弱(ぜいじゃく)であり、航空会社は…
【研究者の論点 日本海運経済学会】(7)神戸大学大学院准教授・石黒一彦。働き方改革、対応誤ると船員不足深刻化
筆者は「内航海運研究会」という有志の研究会の代表を昨年から務めている。この研究会は、森隆行氏(流通科学大学名誉教授)が2010年に立ち上げ、以降長らく主宰されてきた。当初は6人で活動を始め、現在は8…
【研究者の論点 日本海運経済学会】(6)日本大学経済学部教授・手塚広一郎。学術誌「海運経済研究」、積極的な投稿が研究の発展に
2021年10月16日、日本海運経済学会は東京大学で開催した全国大会に先駆けて、「論文の書き方・オンライン講座」を実施した。これは学会としては初めての試みであり、東京大学の柴崎隆一准教授と筆者がその…
【研究者の論点 日本海運経済学会】(5)近畿大学経営学部教授・横見宗樹。航空輸送データでパンデミックを追う、人の流動把握に極めて有用
筆者は国際交通を専門としており、中でも航空輸送データを用いた空港事業者の生産性や効率性の分析に関心を持っている。日本海運経済学会の研究領域は、航空輸送を含めた国際交通も対象であることは前回(5月12…
【研究者の論点 日本海運経済学会】(4)近畿大学経営学部教授・髙橋愛典、流通科学大学商学部准教授・田中康仁。琵琶湖の離島の生活とコロナ禍、人々の生活も研究テーマに
当学会の表看板はもちろん海運であるが、研究はそれにとどまらない。航空を含めた国際交通・物流全般、さらには海・空双方の離島航路や、その先にある人々の生活もテーマである。筆者らは、琵琶湖に浮かぶ有人離島…
【研究者の論点 日本海運経済学会】(3)拓殖大学商学部教授・松田琢磨。海運と経済学と海運経済学、実態や実務に関する知識が鍵
21世紀に入って経済学によるデータ分析は目覚ましい発展を続けてきた。進展の例として、データから因果関係をより厳密に検証する因果推論や、理論上の結果をデータによって算出する反実仮想など新手法を用いた分…