ダイキンMRエンジ、新型舶用エアコン発売。小型内航船向け空冷式
舶用エンジニアリングを手掛けるダイキンMRエンジニアリングは12月1日、モデルチェンジした小型舶用エアコン「キャビンパートナー」を新発売する。船舶専用設計の空冷式エアコンで、船舶特有の設置環境に対応したほか、環境負荷が少ない冷媒「R32」を採用した。小型内航船をターゲットに、国内での販路拡大を目指す。
一般的に、中大型の外航船などでは冷房運転時の熱交換に海水を使用する水冷式エアコンを搭載し、暖房時は主機の冷却などで発生する蒸気を利用したヒーターや電気ヒーターを使用している。一方、小型船の場合は海水や蒸気を使用するために必要な付帯設備を設置する船内スペースが限られるため、これらの付帯設備が不要な、空気で熱交換を行う空冷式エアコンが好まれている。
そのため、船舶に家庭用エアコンを搭載するケースがあったが、ダイキンMRエンジニアリング機器営業課の加藤茂課長は「家庭用エアコンを船舶に搭載する場合は、船舶専用ではないことからメーカーの保証対象外となり、施工会社や船主が使用上のリスクを負う必要がある」と、デメリットを指摘する。
加えて、小型の内航船は暖房のために燃料焚(だ)きの温気暖房機も搭載している船があり、「燃料代と毎年のメンテナンスコストが非常に高いことが課題となっている」(加藤課長)。
同社はこれらの課題解決を目指す製品として、ヒートポンプ式暖房機能を持つ空冷式エアコン「キャビンパートナー」を市場投入する。新型「キャビンパートナー」は、従来モデルでは室外機だけに施されていた耐重塩害対策を室内機にも施し、耐久性を向上させることで故障リスクを軽減、これに伴うメンテナンスコストの削減を実現する。
従来のペア方式(室内機と室外機が1台ずつ)のモデルチェンジではAC100V接続が可能となる。船舶既設の家庭用エアコンも同一の電気容量であれば既存の冷媒配管・内外電線の流用が可能となる。
また、既存製品のモデルチェンジだけでなく、今回新たなラインアップとしてマルチ方式も追加。同方式では、室外機1台に対して室内機を最大3台まで接続可能で、壁掛形室内機に加えて床置形室内機も選択でき、操舵室での視界の妨げや、棚の多い乗員室スペースの制約解消にも貢献することを見込んでいる。
ダイキンMRエンジニアリングは空調・冷媒メーカーのダイキン工業グループとして、陸上で培った空調技術を活用し、舶用製品のニーズの変化に対応していく。