インターリンクセミナー、コンテナ受け取り拒否時の対応「初動が非常に重要」。フォワーダー・荷主の立場で解説
国際輸送に関するリスクヘッジを専門とする保険代理店インターリンク(東京都港区)と東京海上日動火災保険は10月26日、コンテナが受け取り拒否された場合の実務をテーマとしたセミナーを開いた。山口総合法律事務所の仁井稔大弁護士と星英樹弁護士が解決に導くまでの対応フローやリスクを軽減する対処法などをフォワーダー・荷主双方の立場から解説した。
仁井弁護士は「コンテナの受け取りを拒否された時は初動が非常に重要だ。これによって結果が大きく変わってくる」と指摘。フォワーダーの場合、着地業務の手続きを行う「代理店」と荷送人から運送を依頼された「運送人」とで取るべき対応が異なるとし、双方の手続きを解説した。
まず、「代理店」の場合について、着地の状況確認▽発地の状況確認▽運送人の指示を聞く▽指示がないときの対応―の4ステップで解説した。荷受人には貨物の引き取りの義務がない場合が多い一方、船社との間では引き取り手続きが完了しているケースが多く、フォワーダーに運賃や諸費用を払う義務が発生しているという。
こうした船社費用や倉庫の費用の発生を抑えるため、貨物のサーベイを入れた上で、保管料がかからない倉庫に保管することを推奨した。その上で、代理店は荷送人からの指示を運送人経由でメールなど形が残る方法で求めるべきだとし、「指示なしにシップバック(積み戻し)するのが最も危険」と強調した。
荷送人や運送人からの指示がない場合には、貨物がある場所の法律で処分するのが適切として、日本の場合として民事留置権や商事留置権に基づいて競売にかけるフローを紹介した。
■船社費用の負担、見積もりで明記を
「運送人」の場合でも同様の4ステップが重要となるという。初期段階でコンテナをデバンニング(開梱)し、安い費用の倉庫で保管するなど費用の発生を抑えるとともに、「日頃の備えとして到着地でデマレージ(超過保管料)などの費用が発生した場合は荷主側に請求することを見積もり条件に入れるべきだ」とした。
荷送人の指示を聞く場合は、船荷証券(BL)が出ている運送かどうかを確認し、BLが出ている場合は補償状をもらった後、処分すべきだとした。
またこの場合について「到着地の法律での処分は早くやればやるほどリスク・コストを下げられる」と説明した。
荷送人の場合には、荷受人との売買契約を解除し、荷受人に対して受け取り拒否に基づく損害賠償請求を行いつつ、廃棄・転売・返送などの貨物処理の方針決めを速やかに行うべきとした。
講演後の質疑応答では実際の貿易事例を踏まえた質問が多く寄せられた。