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2023年10月24日 デイリー版1面
【MariTech 海事未来図】川崎汽船、滞船・早出料、自動計算。ドライ船向けシステム開発
川崎汽船は23日、ドライバルク船の積み上げ荷役作業記録書から必要情報を抽出し滞船料と早出料を自動計算し、本船停泊時間の計算書(レイタイムステートメント)を自動作成するシステム「CHRONUS(クロノス)」を開発したと発表した。AI(人工知能)コンサルティング事業を手掛けるシナモンが開発した技術を活用した。川崎汽船は業務フローの標準化と業務プロセスの効率化を進め、運航サービスの向上を目指す。
ドライ船では通常、荷主と船社の輸送契約で貨物の積み降ろしのための停泊時間を設定する。各航海が完了する度に実際の停泊時間を算出し、滞船料と早出料を精算する。
停泊時間の計算書は、各港で船舶代理店が作成した積み上げ荷役作業記録書の内容と契約条件に従って、降雨や機器の故障などによる荷役の停止時間を除いた正味の荷役時間を計算し作成される。港や荷主ごとに異なる書式で作成されているため、荷役作業記録を表計算ソフトに転記し、停泊時間を計算する必要があった。
クロノスではシナモンのAI―OCR技術を活用し、異なる書式の積み上げ荷役作業記録書に記載された情報を読み取り、本船の到着から荷役作業の開始と完了、出航までの作業記録を認識。貨物輸送契約の条件に基づき滞船料と早出料を自動計算して、本船停泊時間の計算書を作成する。
本船停泊時間の計算書の作成はバルカーの運航業務に欠かせない仕事だが、作成に要する時間や工数は個々の担当者の経験に左右され、計算ミスも発生していた。AI技術などを活用し、個人の経験に依存しない業務フローの標準化と業務プロセスの効率化を進める。