ウィルボックス、デジタル・リアルで物流支援。神戸にオフィス機能。アジアにも展開
大型貨物の国際物流プラットフォーム(PF)を提供するWillbox(ウィルボックス、本社・横浜市、神一誠社長)は、デジタル・リアル両面でのユーザーサポートを強化している。2月1日、神戸市にオフィス機能を設置した。さらに台湾や東南アジアなど海外への拠点展開を計画する。中でも、船社を含めた物流事業者との接点を増やし、連携を強化する考え。PFでも、物流事業者向けの管理機能を整備する。
ウィルボックスは荷主が工作機械などの国際輸送を一括して手配できるPF「Giho(ギホー)」を提供している。荷主の案件情報から、国際輸送に必要な各業務に合った物流事業者がマッチングされる仕組み。
マッチングの肝は自前で構築した物流事業者や物流情報のデータベースにある。各事業者の繁閑や得意分野などから、最適な組み合わせを最短10秒ではじき出す。結果、荷主は物流費を抑えられ、物流事業者は見積もり作成などの負担なしに、価格を含め自社に合った案件を受注可能。
現在の登録者数は荷主企業が約120社、梱包、通関、倉庫、トラックの各事業者やフォワーダー、船社などが約160社。2021年のサービス本格化以来、ユーザーを着実に増やしてきた。
そのために、日々地道な努力を重ねている。荷主と物流事業者双方の要望を満たすには、データベースに最新の情報を反映しなければならない。セールスチームの担当者が物流事業者の元に通い、コミュニケーションを密に取ってデータベースを更新・拡充。マッチングの精度を上げ、マーケティングや受注のツールとしてギホーを使うメリットを示してきた。
2月1日に業務を始めた神戸では、神戸港を中心とした物流事業者と連携を強化する。同港は大型貨物の輸送に必要なインフラが全てそろう重要拠点。神戸積みはギホーの輸送案件の6―7割を占め、ユーザーの約半数が関西の荷主・物流事業者だという。
横浜本社から異動し、神戸の責任者に就いた濵田文樹アカウントエグゼクティブは「利用者の皆さまと直接お会いして、共に現場を見ることにこだわっている。これまでは横浜からの訪問だったが、今後はよりいっそう近いところで関西の荷主、物流事業者を全力で支援したい」と話す。
濵田氏は物流大手や商社でのキャリアを通じて、荷主と物流事業者双方の視点を養ってきた。プラント輸送などの現場業務にも携わった経験を持つ。神戸を拠点に西日本全域をカバーし、荷主訪問のために福井県や滋賀県、広島県などにも足を延ばす。
荷主と個別の案件や価格の話をすることはない。サプライチェーンの安定化や物流リスクの低減、年間の物流コストの合理化など各社の抱える課題に合わせて物流情報を提供し、改善のスキームを提案。荷主と物流事業者の間で、中立的な立場で生産と物流を効率良く連動させるためのコーディネート役を担う。
ギホーにより、荷主、物流事業者ともに受発注の選択肢が広がる。神戸港の歴史と伝統を尊重しながら新たな価値を提供し、DX(デジタルトランスフォーメーション)を起こすことで同港の発展に貢献する考えだ。
■台湾に現地法人
ウィルボックスは同様の活動を、神戸を含む国内各地で展開している。
海外では台湾に近く、現地法人を設立する予定。東南アジアではシンガポール、タイ、ベトナムなどへの展開を検討する。各地でデータベースを構築して水平展開し、ギホーの対象を日本発から日本発着・海外発着の国際輸送に拡大する。
デジタル面では、PFに物流事業者向けの管理画面を設置する。案件管理や荷主などとの情報共有機能を提供し、利便性を向上する。神社長は「当社は意思決定の軸を物流業界が良くなるかどうかに置いている。例えば新規開拓ができる、高単価の案件を受注できる、人手不足でも現場を効率的に運営できる。そのために、新たな価値観を広めていきたい」と意気込みを語った。