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 印刷 2022年08月05日デイリー版1面

MariTech 海事未来図】アイディア、船員労務管理 新サービス。改正船員法対応、働き方改革 後押し

アプリ画面
アプリ画面
労務管理記録簿
労務管理記録簿

 海事産業のデジタル化を支援するプラットフォームを運営するアイディア(東京都渋谷区)は4日、改正船員法に対応した船員労務管理を実現するサービス「Aisea Crew(アイシアクルー)」の提供を1日から開始したと発表した。陸上管理者や船員の業務の効率化を支援しつつ、デジタル技術で船員の労働状況を可視化し、働き方改革の実現を後押しする。

 アイシアクルーは、船員の勤怠管理用の打刻アプリと、陸上管理者向けのウェブで構成。船主やオペレーター(運航会社)の効率的で適切な船員労務管理を支援する。

 アイディアはこれまで内航海運を中心に、デジタル技術で業務効率改善を支援するサービス「Aisea PRO(アイシアプロ)」を提供してきた。

 同社はアイシアプロの開発・運用で培った技術や知見を生かし、国土交通省が定める要件に基づきアイシアクルーを開発した。

 船員向けの打刻アプリは、スマートフォンのアプリを採用。船員が簡単に利用でき負担を感じないように、文字入力を不要とし、ボタンをタップするだけで打刻できるようにした。オフラインでも利用できるため、電波が入らない場所でも打刻できる。

 陸上管理者向けのウェブは、船員の打刻を基に労務管理記録簿が自動で作成される。記録簿の作成は改正船員法によって義務付けられている。船員法で規定された労働時間を超過した場合や超過しそうな場合は、過労を防止するためアラートが表示される。

 アイシアは船主などに対し、アイシアクルーの2カ月間の無料トライアルを提供する。全ての機能を利用しその効果を確認した上で、導入の可否を判断できる。

 2021年5月に公布された海事産業強化法に基づき、22年4月に船員法が改正された。同改正を受け、国交省の旗振りの下で、船員の働き方改革に向けた取り組みが始動した。

 内航海運は経済活動や暮らしを支える重要な社会インフラだが、労働環境の特殊性などから新人の定着率が低く、船員不足や高齢化が深刻な問題となっている。

 この問題を解決し内航海運を持続可能な形にすることが、船員法改正の狙いの一つになる。

 ただ、現状では、事業者は法改正の趣旨は理解しつつも、日々の業務に追われ、具体的な働き方改革の取り組みにつなげることが難しかった。

 そこでアイディアは、「現場の法対応業務の負荷を最小限に抑えるだけでなく、中長期的に船員の働き方改革を推進していく第一歩となるためにアイシアクルーを開発した」(事業戦略室企画立案マネージャーの尾崎護氏)。

 同社は「デジタル技術で労働状況を可視化することが、船主、オペレーター、荷主を含む業界全体で働き方改革を推進していくための土台として必要不可欠」としている。

 アイディアは、今回開発した労働時間管理システムを皮切りに、今後は配乗業務や配船業務のデジタル化など、蓄積された労務データと組み合わせて利用できる機能を開発・提供し、働き方改革の実現に貢献していく考えだ。