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 印刷 2022年07月22日デイリー版4面

記者の視点/梶原幸絵】物流混乱下のフォワーダー、先を見据え さらに強く

 国際物流の混乱が長期化する中、フォワーダーの健闘が目立っている。国際フレイトフォワーダーズ協会(JIFFA)によると、会員企業の日本発着貨物の2021年度取り扱い実績は前年度比9%増の1億2247万トン。3年ぶりにプラスに転じ、19年度実績と比べても増加した。主要各社に取材をすると、品目により輸送需要に濃淡があり、一部で伸び悩む傾向も見られたが、21年度実績はおおむね増加傾向だった。

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 20年度後半から21年度にかけては、海上輸送のコンテナやスペースの需給が極端に逼迫(ひっぱく)していた。フォワーダー各社は対応に追われ、出口の見えない異常事態と格闘していた。日本のアロケーション(船腹割り当て)が絞られたため、大手フォワーダーの幹部からは「島国日本では、フォワーダーは船社のスペースがないことには手も足も出ない。このまま供給制約が続けば企業として当たり前の、成長を続けていくことが難しくなる」と将来を危ぶむ声も出ていた。

 21年度のJIFFA実績は、各社の努力のたまものだろう。船社と荷主の間できめ細やかな調整を行うのは無論のこと、船社からの購買の強化を図り、集中購買拠点と各地の拠点の連携拡充、起用船社の拡大などを行った。確保したスペースを最大限活用するため、拠点間、部署間の情報共有も密にしている。

 船社がBCO(実荷主)を優先し、フォワーダー向けのスペースを削減する傾向もあるが、大手フォワーダーは今年度の輸送契約更改で21年度並みのMQC(最低積み荷保証)を確保した模様だ。中堅企業はスポット対応を増やさざるを得ないなど負担が増していても、「何とかスペースを確保できている。大手からこぼれてきた案件を一つ一つ拾って次につなげていきたい」と意欲を見せる。

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 足元の荷動きは減速しているが、主要フォワーダーの今後についての見方は分かれる。中国発の荷動きが上海のロックダウン(都市封鎖)の影響から回復し、年後半にかけて物量が上向くとの見通しに対して、欧米の消費減退や「モノ消費」から「コト消費」への移行などにより、21年度ほどの需要は期待できないとみる向きも少なくない。大手フォワーダーの関係者は「週ごとにブッキングの件数が落ちている」と顔を曇らせる。

 米国西岸港湾の労使交渉の本格化に鉄道輸送のストリスク、ロシアのウクライナ侵攻の長期化、欧州港湾でのストも今後の国際物流の波乱要因になる。主要各社は米国向けでは西岸を避け、カナダ、米国東岸、同ガルフ地域、メキシコなどを経由するルートを構築。欧州向けでは中国発カスピ海経由の複合輸送が登場するなど、多様な手段を駆使して対応していく構えだ。荷主がサプライチェーンの見直しを検討するのに対し、サプライチェーン全体の最適化提案を切り口に顧客接点を広げる動きも目立つ。

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 デジタル化にも力を入れている。特に、今後のキーワードは「可視化」になりそうだ。単なる貨物追跡ではない。輸送や在庫の現状・予測のリアルタイムでの可視化など、技術を駆使した精度の高いサービスを提供しようと検討が進む。

 デジタルフォワーディングもしかり。複数のフォワーダーがEC(電子商取引)事業者らの新たな輸送需要の取り込みに動いている。

 各社は混乱の先を見据え、成長に向けた布石を着々と打っている。あるフォワーダーの関係者は「物量を伸ばすために、できることはまだまだある」と自信を見せる。混乱期を経た将来、フォワーダーは以前よりもさらに、強くなっていることだろう。