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 印刷 2022年06月28日デイリー版3面

JILS第2回国際物流管理士講座説明会、国際輸送混乱 収拾は24年か。高まる不確実性、グローバル人材育成を

 日本ロジスティクスシステム協会(JILS)は24日、2022年度「国際物流管理士資格認定講座」の第2回受講説明会をオンラインで開いた。NX総合研究所の田阪幹雄リサーチフェローはアジア―欧米間のコンテナ輸送の混乱について「完全な収拾は24年に持ち越す可能性がある」との見通しを示した。国際ビジネスコンサルタントの山内秀樹氏はサプライチェーンの上流まで人権侵害や環境負荷などを管理・防止するサプライヤー・デューデリジェンスの重要性を解説するなど、荷主の視点からアパレル業界で国際物流の果たす役割を説明した。

 田阪氏は米ロサンゼルス(LA)港ではコンテナ船の沖待ちが改善しているのに対し、輸入実入りコンテナが空コンテナとして返却されるまでの市中滞留日数が悪化傾向にあると指摘。沖待ちの改善は上海のロックダウン(都市封鎖)に伴う減便が影響したとして、米西岸港湾の混雑の根元には「内陸の工場や物流センターのオペレーションが物量に追いついていないことにありそうだ」と述べた。

 現在の混乱を引き起こしたのは、米国全体の物流のキャパシティー不足と言える。米国では例年、中国からの荷動きの落ち込む春節(旧正月)期間にクリスマスシーズンなど繁忙期の物量増加の収拾をつけていたが、20年の春節明けは中国からの輸送が急増し、21年、22年の春節期間は例年ほど物量の落ち込みが見られなかった。

 インフレによる消費の頭打ちを考慮しても、アジア―欧米間のコンテナ輸送の不安定な状態は、今年いっぱいは続きそうだという。中国側では上海のロックダウンが明けても不安定な状況が続いているのに加え、今後は欧米の物流の繁忙期に入る。

 さらに23年の春節期間に特に米国の港湾、荷主、物流企業のオペレーションが物量に追いつかなければ、混乱は24年まで続くことになりかねない。米西岸労使交渉の影響も懸念される。

 このほか、田阪氏は日本の物流業界にとっての標準化の重要性などを強調し、米西岸労使交渉の見通しやウクライナ情勢の国際物流への影響などを解説した。

 早稲田大学の非常勤講師も務める山内氏は、大手商社の繊維部門で長くサプライチェーン・マネジメント(SCM)に携わった経験を持つ。同氏はアパレル業界の構造変化やサプライチェーンの概要を説明した上で、アパレル業界にとってのサステナビリティー(持続可能性)対応やサプライヤー・デューデリジェンス体制の構築などの重要性を挙げた。

 物流企業はそうした荷主の置かれている環境やビジネスモデルの変化まで理解した上での提案が求められるという。山内氏は「物流企業にとっては荷主のパートナーとして一歩踏み込み、お互いにメリットのある改善を進め、ともに価値を創造する提案をしていくことが求められている」と話した。

 このほか、流通経済大学の林克彦教授は日本企業のグローバル化の歴史を振り返った上で、サプライチェーンの見直しや国際輸送の混乱、荷主企業と物流企業との関係性の変化などの動向を紹介。「不確実性が高まる今、グローバルロジスティクスの人材教育の重要性がますます高まっている」と視聴者に呼び掛けた。

 国際物流管理士資格認定講座は9月―来年3月に全19日間、オンラインで開講する予定。田阪氏、山内氏、林氏をはじめ第一線で活躍する実務家や有識者を講師に、国際物流、グローバルロジ、SCMに関連する専門知識やマネジメント技術などを総合的に学ぶことができる。経営学を含め海外駐在員に必要な知識も習得する。