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 印刷 2022年06月27日デイリー版1面

チップ船、船腹需要高まる。中国向け荷動き拡大

邦船オペがチップ船を短期用船する動きも
邦船オペがチップ船を短期用船する動きも

 製紙原料となる木材チップを運ぶチップ専用船の船腹需要が高まっている。中国が環境対策の一環で古紙の輸入を禁止したことに伴い、同国の木材チップ輸入量が拡大しているためだ。南米など遠隔地からの輸入が増えていることも、チップ船の船腹需要の押し上げ要因になっている。邦船社も中国向けの旺盛な輸送需要に対応。チップ船を短期用船で手当てし、中国対応を強化するところもある。

 製紙業界関係者によると、中国の2021年の木材チップ輸入量は、前年比16%増の1562万トンに伸びた。製紙原料となる古紙の輸入が禁止されたため、木材チップやパルプへの切り替えが進んだ。

 中国の木材チップ輸入先は、コスト競争力に優れたベトナム産が最も多く全体の57%を占める。ただ、豪州(占有率18%)やチリ(同5・5%)、ブラジル(同4・4%)など遠隔地からの輸入も増えており、チップ船の船腹需要につながっている。

 チップ船事業を強みとする邦船社も、中国向け木材チップの輸送需要の取り込みを図っている。

 最大手の商船三井は中国の製紙会社から複数の輸送契約を獲得した。契約期間は2―5年程度とみられる。

 商船三井は中国拠点に担当者を配置し、チップ船の荷主を開拓してきた。それらの取り組みが奏功し、中国向けを中心とする海外向けの輸送シェアは全体の45%程度まで上昇。日本向けに匹敵するまでになった。

 商船三井は国内外の船主からチップ船2隻を短期用船することも決めた。邦船オペレーター(運航会社)がチップ船を短期契約で船主から借り受けるのは珍しい。

 国内船主は邦船オペとの用船契約満了に伴い返船されたチップ船について、従来は海外船主に売却するか、スクラップ処分するかという選択肢しかなかった。

 商船三井は中国向けの旺盛な輸送需要は当面続くと判断。2隻の短期用船に踏み切った。

 商船三井のチップ船隊は、今期中に就航する新造船2隻も合わせ、前期末の42隻から46隻に増える見込みだ。

 チップ船の世界の船腹量も150隻程度まで回復してきた。チップ船はデジタル化による紙需要の減退やドライバルク船市況の低迷を受け、高齢船のスクラップが進展。船腹量は130隻程度まで落ち込んだ。

 昨年から日本の製紙会社が抱える一部のチップ船が代替更新時期を迎え、新造船の竣工が相次いでいる。代替された既存船が解撤されずに運航され続けているため、船腹量も増加に転じた。

 チップ船は日本の製紙会社が海外から木材チップを輸入するために開発された特殊船。軽くてかさばる木材チップを効率的に輸送するため、貨物倉の容積が一般的なバルカーよりも大きく設計されている。

 ドライ市況低迷時には、チップ船はその特殊性から一般バルカーよりも用船料が低く設定され、苦戦を強いられた。飼料用大豆ミールや鉄スクラップ、タピオカなどの代替貨物を運ぶこともあった。

 最近は中国の木材チップの輸入の伸びが顕著なため、チップ船はいずれも本来の貨物の輸送に従事。中国が日本を抜き世界最大の木材チップ輸入国になったこともあり、中国船社がチップ船を新造するケースもある。