ドローンの利活用の現状-想定される海事業界への影響の考察-
 印刷 2022年06月24日デイリー版1面

インタビュー 船舶管理大手の事業戦略】コロンビア・シップマネジメント アジア地域担当マネジングダイレクター、ビジネス開発担当グループダイレクター デミトリス・クリソストモウ氏。船管会社の枠を超えて

コロンビア・シップマネジメント アジア地域担当マネジングダイレクター ビジネス開発担当グループダイレクター デミトリス・クリソストモウ氏
コロンビア・シップマネジメント アジア地域担当マネジングダイレクター ビジネス開発担当グループダイレクター デミトリス・クリソストモウ氏

 船舶管理大手のコロンビア・シップマネジメント(CSM、本社・キプロス)は、コンテナ船やタンカーを中心に400隻を超える船舶管理を手掛ける。同社は従来型の船舶管理業務を超えた付加価値サービスを提供し、船主ニーズの多様化に対応していく方針だ。CSMグループのビジネス開発担当ダイレクターで、アジア地域担当マネジングダイレクターでもあるデミトリス・クリソストモウ氏に同社の取り組みを聞いた。

(聞き手 山田智史)

 ――現在の管理船の規模と日本での事業展開について教えてほしい。

 「現在の管理船は全体で415隻。内訳はテクニカル管理と船員配乗管理の両方を手掛けるフル管理船が339隻。それに加えて船員配乗管理だけを手掛けているものが76隻ある。船舶管理の拠点は12カ所、船員配乗の拠点は15カ所だ」

 「日本では4社の主要な船主から20隻以上の船舶管理業務を受託している。船種はコンテナ船とドライバルク船。新型コロナウイルス感染拡大防止のための渡航制限が緩和され、日本にも訪問しやすくなったので、シェア拡大に向けて積極的に営業していきたい」

 「アジア地域におけるCSMグループのプレゼンスを高めることが私のミッションだ。シンガポールを起点に、日本、中国、台湾、韓国のマーケットをカバーしている。中でもアジア最大の船舶保有国として、日本市場は特に重視している」

■真のパートナーに

 ――コロンビアの特長、強みは何か。

 「われわれは他の船舶管理会社とは異なる。船舶管理はコア事業であり、世界で最も優れた船舶管理会社の一つだ。ただ、船舶管理関連サービスにとどまらず、さまざまな付加価値サービスを提供している。それにより、顧客のビジネスの成功に貢献しようと努めている」

 「船舶からの排ガス削減が急務となっている。環境負荷の低い代替燃料への転換も求められている。デジタル技術の活用も待ったなしの状況にある。船主を取り巻く事業環境が大きく変化する中で、従来型のサービスだけでは十分とは言えない。船舶管理会社の概念を超えて、真の海事関連サービスプロバイダーとなり、船主のパートナーとなることを目指している」

 ――付加価値サービスはどういったものを提供しているのか。

 「当社のパフォーマンス・オプティマイゼーション・コントロール・ルーム(POCR)は、運航業務の最適化と効率化を最高レベルで実現する。専門家が24時間365日監視し、運航業務の可視化を可能としている」

 「また、ヨットとクルーズ分野のいくつかのブランドを一つの持ち株会社の下に統合した。レジャー、ライフスタイル、クルーズ、ヨット、航空など多様なサービスを提供することで、顧客のあらゆるニーズにソリューションを提供する」

 「パートナー企業と協力し、ケータリング、調達、廃棄物管理、サステナビリティー(持続可能性)・ESG(環境・社会・企業統治)戦略、ソフトウエア開発、航空機材管理などの幅広いサービスを提供している」

 「Eラーニングやインターネットベースの学習管理システムは、当社グループが雇用する船員などに大きな利益をもたらしている。船員のメンタルヘルスにも配慮している。当社はステークホルダーの理解と支援により、地球環境や暮らしにとってポジティブな価値を提供できると信じている」

■ウクライナ船員支援

 ――ロシアによるウクライナ侵攻の影響はどうか。

 「影響を受けている。当社はロシアのサンクトペテルブルクとノボロシスクに配乗拠点がある。ロシア人船員約800人を抱えている。ウクライナにはオデーサに配乗拠点があり、ウクライナ人船員約600人を抱えている」

 「国籍に関係なく、われわれは船員を当社のファミリーの一員として扱っている。両国の船員が同一の船で一緒に働いているケースもあるが、問題は発生していない。ただ、ロシア人船員に対しては、給与の支払いが困難になる恐れがある。同国の金融機関が国際的な決済網から除外されたためだ」

 「ウクライナ人船員は新たに雇用契約を結ぶことが難しい状況になっている。18―60歳までの成人男性は出国できないためだ。雇用契約が満了した後、自国に戻るかどうかという問題もある。当社は隣国のポーランドとルーマニアでホテルやアパートを借り受け、ウクライナ人船員とその家族に一時的な避難場所として開放している。困難な状況に直面する船員を支援するために100万ドル以上を寄贈した」

 Demetris Chrysostomou 90年プレトリア大商卒、96年チャータード・シップブローカーズ単科大(ロンドン)卒、98年CSM入社。13年営業担当取締役、21年から現職。69年南アフリカ生まれ。