ドローンの利活用の現状-想定される海事業界への影響の考察-
 印刷 2022年06月24日デイリー版4面

記者の視点/梶原幸絵】機運高まる物流の標準化、企業の成長に不可欠

 物流業界で「標準化」の機運が高まっている。標準化は古くて新しい課題だが、関係者が物流に加えて生産、流通、販売の多岐にわたり、総論賛成・各論反対になっていた。それが労働力不足と物流危機が現実のものとなり、関係者の意識の変化が感じられるようになってきた。

 国土交通省などは昨年、官民物流標準化懇談会を設置し、まずは分科会でパレットの標準化を検討している。単一のパレットで貨物の積み替えなしに生産から販売までをつなぎ、手荷役を解消する効果は生産性の点でも労働負荷の点でも大きい。

 民間企業でも、さまざまな取り組みが進んでいる。業種別などの団体・協議会活動などに加え、最近は幹線輸送のシェアリングサービスを提供するNEXT Logistics Japan(NLJ)、食品メーカーの共同物流会社F―Line、物流スタートアップのHacobu(ハコブ)、「ハコベル」を運営するラクスルなどが活動。物流の共同化基盤となるサービスを提供し、利用者の業務の標準化・効率化につなげている。

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 物流全体を最適化し、生産性を上げていくには標準化が不可欠だ。そもそも、現場ごと、担当者ごとの個別最適で物流を運営していたのでは、同じ企業内でも効率が落ちてしまう。業務の見える化や改善も難しくなる。これは企業間の業務でも同様で、標準化がされないままでは各段階でムリ・ムラ・ムダが発生する。

 デジタル化・自動化に向けても標準化が前提になる。アナログで行っていた業務をデジタル化しようとすれば業務プロセスやデータの標準化が一定程度必要だ。デジタル化が進めば標準化が進むとも言え、標準化とデジタル化は車の両輪とも言われる。

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 別の切り口で見れば、標準化は事業規模拡大への強みにもなり得る。NX総合研究所の田阪幹雄リサーチフェローは15日、日本海事センターが開いたセミナーで講演し、日本の物流企業の東アジア進出が進む一方、欧州系物流大手などに規模で後塵(こうじん)を拝している要因として労働生産性の低さと標準化の遅れを指摘した。

 日本企業の事業・サービスの方向性は、欧米企業とは違うという。日本企業は各顧客のニーズに合わせて現場力と改善力を生かした質の高い「オートクチュール型・すり合わせ型」のサービスを提供し、個別最適に向かう傾向がある。

 一方、欧米企業は高度な知識を持つ人材とITを生かした在庫管理などの提案力により、標準化された「プレタポルテ型・プラットフォーム型」のサービスを提供する。欧米では物流現場やインフラの標準化も産業の枠を超えて進んでいる。田阪氏はその労働生産性の違いを日本企業の課題として挙げる。

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 事業規模を追求し、世界の物流市場で欧米大手と伍(ご)していく選択に対して、荷主に密着したサービスを強みに成長を目指す選択もあり得る。どちらを取るかは各社の戦略による。それでも、利益水準の向上やアジアでも人手不足感が出ていることを考えると、従業員の数や個人技に頼らない、標準化された事業基盤は必須と言えるだろう。