ドローンの利活用の現状-想定される海事業界への影響の考察-
 印刷 2022年06月21日デイリー版4面

記者の視点/鈴木一克】内航海運 省エネ化実現の鍵、荷主・船社一体で推進策を

 昨年末公表された国の「内航カーボンニュートラル推進に向けた検討会」の取りまとめに盛り込まれた施策を具体化するための動きが進む。国土交通省は6日、省エネ・省CO2(二酸化炭素)を目指し、荷主などと連携した省エネ船の開発・普及に向けて議論する検討会の初会合を開いた。

 「連携型省エネ船」とは、ハイブリッド推進の導入、陸上との連携による運航支援設備の導入、荷主との連携による荷役・離着岸設備の自動化・電動化―など幾つかの技術、システムを組み合わせた形を国はイメージしている。

 有識者、内航、フェリー、造船、舶用工業関係者らが出席する検討会の初会合では、国交省が実際に開発するモデル船の対象候補として、内航の主要船型である499総トン型や749総トン型の貨物船とタンカー、5000総トン級と749総トン級のセメント船の6種を挙げた。

 一方、RORO船や旅客船(中小型旅客船、長距離フェリー)については、船ごとに船型の違いが大きいため、船型開発は実際には行わず、イラスト化したモデル船を作製する方針を示した。次会合は8月に開催予定で、今年度中に取りまとめをする方針。

 ◇

 省エネ化の推進は、「環境に優しい輸送モード」を旗印とする内航海運にとって重要なテーマだ。政府は内航海運分野での2030年度のCO2排出削減目標として、13年度比約17%削減を掲げる。その実現の鍵を握るのは連携型省エネ船だ。同船が多く建造されることが内航海運の省エネ目標実現へとつながると期待される。今後、次世代燃料船への切り替えという課題にも直面するが、まずは内航船の省エネ化などを着実に成し遂げなくてはならない。

 ◇

 連携型省エネ船の開発・普及を考えていく上で、建造コストの増加が懸念材料となる。

 「いくら省エネ性能が優れたとしても建造費が高ければ、多くの船をコンスタントに造り続けることは難しい」

 内航関係者はこう指摘する。日本内航海運組合総連合会の栗林宏𠮷会長は、「少しでもリーズナブルで、代替建造しやすいものを示してほしい」と訴える。

 足元では、コロナ禍やロシアのウクライナ侵攻などによる世界経済の変調が続く。世界的な物価高騰で燃料価格が高騰。船舶用鋼材価格も上昇するなどさまざまなコストが上昇し内航のオペレーター(運航船社)や船主の経営を圧迫している。

 国などはモデル船開発完了後に建造コストの上昇分の一部を補助するほか、鉄道建設・運輸施設整備支援機構の共有建造制度による金利優遇策への組み込み(23年度以降を予定)といった建造・普及支援メニューを用意していく方針を示す。

 ◇

 少しでも経済性が高い省エネ船実現は重要だが、建造費を考えれば荷主ら関係者へのコスト上昇に対する理解醸成が大事になる。

 内航海運を含む国内物流は、荷主が消費者らの需要家に製品を届ける上で欠かせない存在だ。荷主企業は熱心に環境への取り組みをする中で国内物流の省エネ化の後押しにも力を入れてほしい。

 国は4月、船員の働き方改革や内航海運の取引環境改善に向けた改正船員法、改正内航海運業法などを施行させた。改正法で示された政策を実現させるには荷主の協力は欠かせない。

 同様に今回の連携型省エネ船開発、普及など省エネ化策推進にも荷主との協力は不可欠だ。国が開く内航、荷主両業界が出席する懇談会など話し合いの場も通じて、環境問題に両業界が一体となって取り組めるようにしてほしい。