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 印刷 2022年06月02日デイリー版2面

EU追加制裁、船舶の保険提供 禁止か。露産石油輸送で

 ウクライナへの侵攻を続けるロシアへの制裁として、EU(欧州連合)が、ロシア産石油の輸送に関与するタンカーへの保険・再保険の提供を禁止する可能性が浮上している。保険関係者は「保険市場で高いシェアを持つ欧州の保険会社による再保険が禁じられるのはリスクが大きい。その場合、ほとんどの保険会社はロシア産石油の輸送に関与する船への保険提供を全面的に取りやめるのではないか」と語る。

 EUは5月30日、ロシアからの原油、石油製品について、パイプライン経由の一部を除き輸入を禁止する方針を発表した。海外報道などではこれに加え、海上輸送を担うタンカーへの保険・再保険の禁止措置も近く追加される可能性が伝えられている。詳細は不明だが、対象となる船についてはロシア籍船や、ロシア産石油の輸送に従事する船舶などを指摘する声がある。

 英国の船価鑑定大手ベッセルズ・バリュー(VV)によると、ロシア籍船は1691隻で、そのうちタンカーは569隻。5月の1カ月間で、船籍を問わずロシアからの石油輸送に従事したタンカーは613隻とされる。

 そのほか、EUによるロシア産石油の禁輸によって、スエズマックスやアフラマックスを中心とする代替調達でトンマイル(輸送重量距離)が延伸し、タンカー市況が押し上げられる可能性もある。