ドローンの利活用の現状-想定される海事業界への影響の考察-
 印刷 2022年05月26日デイリー版1面

日本船主、航空機投資を再開。リース会社保有機、償却財源で

 複数の関係者によると、日本船主は欧米などのリース会社が保有する航空機への投資を再開している模様だ。欧米やアジアの航空機リース会社は、航空会社の業績不振やロシアの航空会社へのリース機の「接収」などで業績が悪化している。日本船主は足元で市況堅調、円安の追い風でキャッシュ(現金)が潤沢な状況にある。高騰する新造船に投資できない資金を欧米の航空機リース会社の保有機へ投資することで償却財源の確保につなげる。

 航空機の価格は1機当たり数十億円から数百億円に達する。一般的な航空会社は自社で航空機を保有せずリース会社から借り受けるケースが多い。

 航空業界では新型コロナウイルスの影響で経営破綻に追い込まれる会社が発生。航空機リース会社にリース料が支払われなくなるケースも出ており、「前期の航空機リース部門は特別損失を出すなど業績は悪化していた」(商社関係者)。

 今回、日本船主が航空機に投資しているのは、新造船価格が高騰し「本業」の新造船に投資できない状況が背景にある。

 日本船主の多くは堅調なドライ船市況、1ドル=127円台の円安で足元のキャッシュポジションは潤沢な状況だ。半面、新造船価格の高騰でオペレーター(運航船社)との定期用船契約の交渉が難しく、「新造船、中古船ともにBBC(裸用船)案件しかない」(地銀関係者)。

 日本船主はキャッシュを再投資しなければ、法人税を支払うため、海運無税のギリシャ船主などと対抗するためには、常に新規投資に伴う償却財源の確保が必要とされる。

 航空機リース会社で売買されているのは、「欧州域内を対象とする100人から160人乗りの中小型航空機、100億円程度のものが対象となっているようだ」(航空機リース関係者)。

 欧米や一部アジアの航空機リース会社はロシアのウクライナ侵攻問題を巡り、ロシアのアエロフロートなどにリースしていた航空機のリース解除などを実行しようとした。一方、一部報道によると、ロシアではプーチン大統領が3月、ロシアの航空機会社がリース契約を結ぶ航空機の所有権をロシアの航空会社に移管することを認める法案に署名。これら航空機はロシアに「接収」された形となり、欧米リース会社の機体の回収が事実上、困難になっている。

 アイルランド、米国、シンガポールなど各国の航空機会社からも相当数の航空機がロシア航空会社にリースされており、こうした機体が接収されれば航空機リース会社は投資費用を回収できなくなる可能性がある。

 航空機リース会社はコロナ以降の航空業績不振が続く中、保有するリース機の売却で事業悪化を補填(ほてん)する狙いがある模様だ。

 日本船主としても直接こうした中古リース航空機に投資することで償却財源を確保できる。

 ロシアの「接収」による航空機リース会社の業績悪化は世界的に広がっており、「欧州域内では既存リース機を売却する動きが活発化している」(航空機リース関係者)。

 日本船主は本来、本業の新造船に投資したいところだが、造船所自体が資材価格の高騰で新造船価格を提示できないケースさえ発生している。潤沢な資金を効率的に運用するため、日本船主の航空機リース会社への保有機の投資案件は「増加傾向にある」(地銀関係者)状況だ。