ドローンの利活用の現状-想定される海事業界への影響の考察-
 印刷 2022年05月23日デイリー版1面

期末決算を読む】(2)日本郵船、経常1兆円 不専船も好調

表・グラフ 表・グラフ

 日本郵船の2022年3月期の連結経常利益は前の期比4・7倍の1兆31億円と邦船社初の1兆円台に乗り、歴史的な好業績を達成した。

 米国向け中心に旺盛なコンテナ輸送需要が継続し、38%出資する定期船事業会社オーシャンネットワークエクスプレス(ONE)を中心に巨額の持ち分法投資利益7426億円(前の期比4・8倍)を計上した。

 「期初時点の経常益予想は1400億円であり、全く予想していなかったレベルだ。オミクロン株の流行もあり、コロナ禍がなかなか収束しない中、1―3月も(コンテナ船の)輸送需要は旺盛で、港湾や内陸部の混雑状況が続いた」

 丸山徹執行役員はオンライン決算会見で定期船市況についてこう語った。

 ONE以外の本体事業も好調で、持ち分法投資利益が含まれない営業利益も3・8倍の2689億円に拡大した。

 航空運送と物流事業がそれぞれ2倍超の大幅増益を達成。不定期専用船(不専船)事業もドライ市況高騰と自動車輸送台数の回復で利益を伸ばした。

 純利益は7・2倍の1兆91億円に拡大し、繰り延べ税金資産の計上も寄与。連結配当性向24%とし、年配1450円(前の期は200円)に増配する。検討していた自社株式の取得は今回見送った。

■物流混乱解消せず

 セグメント別経常利益は定期船が前の期比5・2倍の7342億円に拡大した。

 「米国向けに旺盛な輸送需要が続き、混雑は解消せず、需給逼迫(ひっぱく)が続いた。お客さまから預かっている貨物をタイムリーに届けることができておらず、非常に複雑な心境だ」(丸山氏)

 日本貨物航空(NCA)を主体とする航空運送事業の経常益は2・2倍の740億円。旅客便の運休・減便で貨物スペース逼迫が継続し、荷動きも自動車の半導体・部品や、eコマース(電子商取引)関連貨物が好調だった。海上貨物の航空シフトも続いた。

 物流事業は2・2倍の587億円。海上貨物フォワーディング(FW)の取扱量は前年並みだったが、利益水準が向上。航空貨物FWは需給逼迫の中、チャーター便を含めてスペース確保に成功した。コントラクト・ロジスティクス(物流一括受託)も欧米中心に一般消費財の荷動きが好調だった。

 不専船事業は7・5倍の1391億円に大きく増加。自動車輸送台数は16%増の415万台に回復し、半導体不足による荷動きへのマイナス影響があったものの、配船の工夫や代替貨物の集荷でカバーした。

 ドライ部門は用船市況が好調に推移し、構造改革による高コスト船の削減も寄与。エネルギー部門はタンカー市況が低迷したが、LNG(液化天然ガス)船や海洋事業の中長期契約をベースに安定的に収益を確保した。

■自己資本5割強

 空前の利益に伴い、財務指標も大きく改善している。自己資本比率は55%に達し、DER(負債比率)は0・5%を下回った。中期経営計画で目標に掲げる自己資本比率30%以上、DER1・5倍以下を大きく上回っている。

 現中計は今期が最終年度に当たり、23年度から新中計がスタートする。過去最高益で得た資金をどう投資に活用していくかが注目点となり、丸山氏は「50年のゼロエミッションに向けた投資や、株主還元、資本政策も含めて、次期中計に落とし込んでいく」と話す。

■今期も高利益維持

 23年3月期業績は売上高2兆3000億円(前期比1%増)、経常益7600億円(24%減)と増収減益を予想。ただ、前期に次ぐ過去2番目の高水準の利益を見込む。

 増収は円安によるドル建て運賃の円換算収入の増加が主因。減益要因として定期船、航空運送、物流事業でコロナ禍からの「ノーマライゼーション」(正常化)が始まり、需給が改善に向かうと予測する。

 上期は中国のロックダウン(都市封鎖)、ウクライナ情勢の影響でコンテナ船の積み高・運賃が若干弱含むが、需給逼迫は継続しそう。丸山氏は注目点に「北米西岸の労使交渉の影響」を挙げる。

 一方、下期以降は、世界経済の減速で北米中心に需要が落ち着き始め、物流混乱が収束に向かうことで、定期船スポット運賃が下落すると予測。

 「第4四半期(23年1―3月)に向かってかなり弱くなる前提を立てている。ただ、軟化のタイミングを含め、非常に見通すことは難しい」(丸山氏)

 スポット運賃下落の半面、ONEの収益は前期までに引き上がった長期契約運賃の下支え効果が期待できる。

 不専船事業は、自動車船が足元の中国のロックダウンの影響を受けているものの、半導体不足や自動車部品不足の解消が徐々に進むことで、米国向け中心に輸送台数の増加を予想。ドライバルク市況は前期比で下落するが、引き続き堅調な水準を維持する見通し。

 配当予想は、連結配当性向25%を目安に年配1050円を予定する。

 ウクライナ侵攻に伴うロシア経済制裁は前期業績に大きな影響は出ておらず、「今期業績予想にも大きな影響は織り込んでいない」(同)

(随時掲載)