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 印刷 2022年05月13日デイリー版1面

JERA、露LNG「代替可能」。調達1割未満。政府方針を注視

小野田社長
小野田社長

 国内発電最大手JERAの小野田聡社長は12日のオンライン会見で、同社のLNG(液化天然ガス)調達3000万トン規模のうちロシア産は10%未満にとどまり、対露制裁強化で輸入が困難になった場合でも「代替調達は可能」との見通しを示した。JERAは主に「サハリン2プロジェクト」からロシア産LNGを輸入しており、今後の日本政府の対露制裁方針に沿って対応を検討する。

 日本政府は現時点でサハリンプロジェクトの権益を維持する方針を示している。

 小野田社長はサハリン2のLNGについて「購入先はロシア企業ではなく、資金のやりとりはシンガポールで行っており、現時点で直接的な影響はない」と説明。

 ただ、「国としての制裁がどうなるか。10%未満のボリュームのため、調達は可能だが、資源価格高騰の中で、どのような影響が出るかは分からない」とコスト面の懸念を挙げた。

 発電用石炭では、JERAの調達量のうちロシア産は1割程度を占める。シンガポール現地法人JERAグローバルマーケッツ(JERAGM)を通じてロシア炭をターム契約で調達しており、途中解約が難しいため、契約期間満了後に延長せず、調達を減らしていく方針。

■スポット過去最大

 JERAは2021年度に過去最大のスポットLNG450万トンを調達。脱炭素化の加速やウクライナ危機、3月の福島県沖地震による発電所停止などでエネルギー需給が逼迫(ひっぱく)する中、他電力向けを含めて「日本の緊急的な在庫確保に貢献している」(小野田社長)。

 さらにウクライナ危機でエネルギー不足に直面する欧州にもLNGを供給。政府の要請を受け、日本向けを確保した上で、欧州向けにLNG船6隻、約40万トンを届けた。

 電力の安定供給を目的にLNG・石炭火力のリプレースも進めており、今夏から24年度末までに出力計666万キロワットの最新鋭火力が稼働する予定。

■30社以上が応札

 脱炭素化に向けては、石炭火力、LNG火力のアンモニア混焼、水素混焼を推進。新たな目標として35年までに国内事業からのCO2(二酸化炭素)排出量で13年度比60%以上(1億トン以上)の削減を目指す。

 アンモニア混焼では碧南火力(愛知県)で24年度に混焼率20%、28年度に混焼率50%以上の実証試験を計画。30年代前半に混焼率50%以上の商用運転開始を目指す。

 現在、実証用のアンモニア調達の入札を進めており、ヤラ(ノルウェー)やADNOC(アラブ首長国連邦)、ペトロナス(マレーシア)など30社以上が応札している。

 水素混焼では、25年度までに自社のガスタービン燃焼器を用いた混焼率30%の実証試験を進め、30年代半ばをめどに商用運転を目指す。