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 印刷 2022年05月09日デイリー版5面

ニュース深読み/内航】記録的な燃油高続く、国の高騰抑制策延長・拡充

 デスク 内航船や国内フェリーの運航コストの3―4割程度を燃油コストが占めるという、燃料油価格の記録的な高騰が続いている。

 A 船舶燃料油を販売する兼松ペトロは4月27日、内航船社に対して、SOx(硫黄酸化物)規制に適合した低硫黄C重油(内航燃料油価格)の4―6月期参考仮価格を1キロリットル当たり10万4200円と提示しました。適合油の値決めが始まった2019年10―12月期以降で最高値です。

 B ウクライナ情勢などを背景にした原油価格高騰や足元の円安進行が影響しました。

 デスク 4―6月期仮価格は、1―3月期決定価格よりも1万9900円アップ、2割強の値上がりで大幅な上昇となった。内航関係者からはどういった声が上がっているか。

 C ある関係者は「内航燃油価格が値上がりするのはウクライナ情勢などを踏まえれば想定していた。だが想像以上の上昇幅となった印象」とコメントしました。

 デスク こうした苦境が続く中、政府は内航船で使う重油、軽油も含めた燃油価格高騰への激変緩和事業を実施している。確か4月末までを期限に実施されていたはずだが。

 A 内航、フェリー業界でも5月以降の対応が注目されました。政府は4月26日に決めた原油価格・物価高騰等総合緊急対策で同事業を9月末まで延長すると決定。さらに石油元売り会社への補助金の上限額を1リットル当たり25円から35円に引き上げました。

 B 岸田文雄首相は26日の会見で「国際原油価格が1バレル=150ドルなど前例のない水準に高騰し、35円を超えて補填(ほてん)が必要になった場合も2分の1を支援する」とも表明していました。

 C 政府が同事業の延長、拡充を図ったことで、内航事業者の燃油コスト上昇を緩和させる効果が期待されます。

 A 国土交通省の高橋一郎海事局長は4月27日の定例会見で、同事業について「内航事業者にとって、一定の負担軽減の役割を果たしている」と説明。今回の補助金の上限引き上げ決定など、制度の拡充が続く中で、今後もコロナ禍からの回復を図っている内航事業者の支援に努める考えを示していました。

 B 同事業への対応は各燃料販売会社と船社の間で個別に協議する形を取っています。内航関係者は今回の取り組み強化で、燃油コスト抑制につながることを期待する声も出ています。10万円を超える記録的な値上がりが続く中で、各船社が確実にメリットを得られるようにしてほしいですね。

 デスク ウクライナ情勢も混沌(こんとん)としていて、燃油価格の高止まりは長期化するとの見方も強い。国などには燃油高騰対策を粘り強く続けてもらいたい。