0629webinar_aoki
 印刷 2022年03月01日デイリー版1面

ウクライナ侵攻】日本船主保有船が被弾。日鮮海運グループのバルカー

 日鮮海運グループの日興汽船が保有するパナマ船籍の8万重量トン級バルカー「Namura Queen(ナムラ・クイーン)」が2月25日、ウクライナ南部の黒海で船尾部分に砲撃を受け損傷した。日鮮海運は日本海事新聞の取材に対し同26日、「当社グループの保有船であることは間違いない。現状の事故状況は現地報道の通りである」と話した。ウクライナ積みドライ貨物は穀物が主力。国内外のオペレーター(運航船社)を問わず、穀物輸送に打撃を与えることになる。ドライ市況への影響も注視されている。

 関係者によると、同船は中国系オペレーター「コマージュ」が用船し、中国食糧庁向けに穀物輸送を行う予定だったとの情報もある。これについて、日鮮海運は明らかにしていない。

 日鮮海運は愛媛県今治市伯方島に本店を置き、グループ全体で200隻超の船舶を保有(発注残含む)する日本でも最大規模の船主。

 船価鑑定などを手掛ける英ベッセルズ・バリューによると、「Namura Queen」は2020年に佐世保重工業で竣工した8万5100重量トン型のパナマ船籍のポストパナマックス型バルカー。前港のイタリアのポルト・トッレスを出港後、ウクライナでの穀物積み荷役のために黒海に入った。

 ウクライナ国防省が同国のインフラ省発としてSNS(交流サイト)へ投稿した情報によると、本船は穀物を積み込むために、オデッサの東方約30キロメートルに位置するピブデンニ(Pivdennyi)港の沖に待機していた。

 停泊していた同25日午後0時55分ごろ、本船の船尾部分にミサイルを被弾。火災が発生し、機器の一部が使用不能になった。タグボートが駆け付け、状況はコントロールされているという。現地報道などによると、乗組員1人が負傷した模様。

 ウクライナのインフラ省によると、砲撃はロシアによるもので、「Namura Queen」のほか、モルドバ船籍のバンカー船「MILLENNIUM SPIRIT」も被弾した。

 ロシアの軍事侵攻以来、黒海周辺を航行する一般商船への被弾が相次いでいる。既にオデッサを含め黒海の主要港は封鎖されており、コンテナ船社も同地域への貨物の引き受けや配船を停止している。

 海運関係者によると、黒海ではタンカーも複数隻が運航されており、万が一、タンカーが被弾した場合、一般的な貨物船よりも被害が拡大する可能性がある。

 今回、「Namura Queen」の被弾した黒海は緊迫化するウクライナ情勢を受け、3月1日から船舶戦争保険上で航行時に割増保険料の発生するエリア「除外水域」に指定された。

 ウクライナ危機を巡っては、当初、ロシアの経済制裁に伴うLNG(液化天然ガス)プロジェクトへの影響が注視されていた。

 しかし、ここにきてロシア軍が軍事侵攻を開始したことで、黒海周辺が船舶運航の「危険地帯」となっている。

 過去、中東での紛争時にもタンカーへの被害が発生したケースもあるが、短期間に複数隻の貨物船が軍事行動により被弾するケースは過去に例がなく、日本商船隊にとっても深刻な事態と受け止められている。