印刷 2022年01月12日デイリー版5面

ニュース深読み/物流】デジタル化へ投資加速。大手と新興の協業広がる

 デスク 先月はデジタル化関連の話題も豊富だった。

 A まず印象的だったのは、大手物流会社とスタートアップ企業との協業が加速していることですね。日本通運は、SBIホールディングス子会社のVC(ベンチャーキャピタル)など3社のファンドそれぞれへの出資を発表しました。出資額は合計で「2桁億円」。中期的には、CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)の設立も検討します。

 B スタートアップとの協業のための専任組織も設置したとか。関係部門とグループの事業会社に「共創サポーター」も配置し、スタートアップの発掘、共創の仮説の立案、共創への伴走に本格的に取り組む態勢を整えました。

 C 三菱倉庫は宅配収納サービスを提供するサマリーと資本業務提携し、新たな物流システムやサービスの開発を目指します。同時に三菱倉庫はサマリーの物流業務を受託し、これによってサマリーは事業の拡大に合わせて物流基盤を強化する形です。

 A 三菱倉庫はこれまでに、日通も出資したSBI系のVCファンドに10億円、マーキュリアインベストメントと伊藤忠商事が組成したファンドに3億円を出資していますが、スタートアップに直接出資するのは初めてではないでしょうか。

 デスク 新型コロナウイルス禍もあり、物流会社がこの先、生き残っていくには新たなビジネス開発やイノベーションが不可欠になっている。それには外部のパートナーとの協業が必要という考え方が浸透しているということだな。

 B 物流関連のスタートアップの活動はますます活発化しています。数こそ少ないですが、貿易・国際物流の分野も同様です。

 C 例えば貿易総合プラットフォーム(PF)を提供するSTANDAGE(スタンデージ)は、アフリカ向けの貿易をサポートするため、実物流の機能まで拡充しています。山九などと連携してきたのに加え、2021年5月、現地での倉庫保管を始めました。アフリカでの拠点もナイジェリアからケニア、南アフリカ、エジプトに広げています。

 A 貿易業務の完全電子化PFを運営するトレードワルツは、スタンデージを含めた3社と新たな貿易決済の仕組みを23年度に実用化すると発表しました。ブロックチェーン(分散型台帳)技術を活用し、電子BL(船荷証券)とデジタル通貨を同時に交換するもので、貿易の決済にかかる時間とコストの大幅な削減が期待されます。

 B 19年に発足し、国際物流の見積もり査定業務のデジタル化に取り組むJapanFuse(ジャパンヒューズ)は、シードラウンドで総額7500万円の資金を調達しました。貿易・国際物流分野はデジタル化が遅れている分、新たなモデルで効率化する余地が大きいと言えるでしょう。