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 印刷 2022年01月05日デイリー版11面

新年号 コンテナ物流・港湾編】住友倉庫、通関部門をデジタル統合

桜井執行役員
桜井執行役員
信頼性の高い通関と好立地の拠点での保管、配送などを組み合わせ、サービスを提供(写真は21年に竣工した神戸港ポートアイランドの倉庫)
信頼性の高い通関と好立地の拠点での保管、配送などを組み合わせ、サービスを提供(写真は21年に竣工した神戸港ポートアイランドの倉庫)

 住友倉庫は2022年度から、通関業務をデジタル化するクラウド・システム「ⅰ―Clearance(アイクリアランス)」を本格導入する。同社グループは、20―22年度の第四次中期経営計画の事業戦略で「最新のテクノロジーを活用した業務の効率化と省力化の推進」を掲げている。アイクリアランスの導入もその取り組みの一つだ。

 開発に着手したのは17年末―18年。東日本営業部、情報システム部、業務部を中心に部署横断のプロジェクトチームを組織し、複数のITベンダーをパートナーとして取り組んできた。アイクリアランスの導入により、通関部門全体で生産性を25%、利益を15%向上させるという高い目標を掲げ、取り組みを進めている。

 アイクリアランスでは、PDFや紙の書類など多種多様な形・様式で顧客から受け取るインボイスを、OCR(光学的文字認識)にAI(人工知能)を組み合わせたAI―OCRで読み取る。そのデータを基幹業務システムのデータベースに蓄積し、セキュリティーを確保しながら一元管理。入力されたデータは後続の申告書作成に利用される。業務工程にRPA(定型業務の自動化)を取り入れるなど、紙媒体がベースだった通関業務をオートメーション化した。

 クラウド型のシステムなので、場所を問わずチームを編成することも可能。各拠点やスタッフに分散していた知見と情報が共有されることにより、業務をシェアし、同一品質のサービスの提供が可能になった。

 さらに、アイクリアランスの導入効果を最大化するため、住友倉庫は既存業務の隠れた無駄を洗い出し、全体最適の観点から業務プロセスを再構築。顧客ごと、場合によっては担当者ごとに異なっていた業務の標準化にも並行して取り組んでいる。これによって通関士と通関従業者の専門性を高め、顧客への提案、サービスに生かし、顧客満足度の向上を図る。効率化で余力が生まれた分、新規業務の受け入れ余地も拡大する。大口顧客の業務は複数拠点で担い、BCP(事業継続計画)につなげていく。顧客への問い合わせも削減でき、双方のコミュニケーションコストを削減できるといった効果も見込める。

 桜井剛執行役員は「住友倉庫の5支店と通関業務を行う複数の国内関係会社をネットワーク化して運営するために必要な取り組み」と標準化の狙いを説明する。17年の輸出入申告官署の自由化に伴い、AEO通関業者(認定通関業者)は貨物の蔵置場所や通関営業所の場所の制約を受けないクロス申告が可能になった。今後は業法を順守しつつ、グループ全体でアイクリアランスを活用することにより、制度改正に合った通関業務体制の最適化を進める。

 次のステップとして、実際に貨物を取り扱う倉庫での入庫業務などに通関データを活用することで、庫内作業の標準化ツールである「i―Warehouse(アイウェアハウス)」との連携策も視野に入れる。データを物流の各工程で2次、3次利用していき無駄を削減する。さらに通関事務従事者の在宅勤務の促進も見込む。育児・介護などとの両立や障害者の勤務を容易にし、多様な人材、働き方に対応していきたいとしている。