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 印刷 2022年01月05日デイリー版11面

新年号 コンテナ物流・港湾編】三菱倉庫、先端技術とノウハウ融合

情報システム部の遠嶋副部長(右)と同部デジタル化推進チームの竹花剛氏
情報システム部の遠嶋副部長(右)と同部デジタル化推進チームの竹花剛氏
EC物流センターにAMRを導入し、高品質・効率的な物流サービスを従量課金制で提供
EC物流センターにAMRを導入し、高品質・効率的な物流サービスを従量課金制で提供

 三菱倉庫は長期ビジョン「MLC2030」の成長戦略の一環として、業務プロセスの改善と新技術の活用促進に取り組んでいる。オペレーションを効率化・高度化し、サービス品質と生産性の向上を目指す。

 ESG(環境・社会・企業統治)経営、SDGs(持続可能な開発目標)対応としても、先端技術とイノベーションを重要テーマに位置付けている。ビジネスモデルと会社全体の変革に向け、2021―30年度にDX、IT関連に累計500億円を投資する計画だ。

 けん引役は、19年に情報システム部に新設したデジタル化推進チーム。部門横断のプロジェクトチーム、システム子会社のDX推進部と共に取り組みを推進する。

 既存業務のデジタル化戦略として、現場・事務作業と業務プロセスを自動化・省人化し、高効率運営を実現する。収集したビッグデータを分析し、AI(人工知能)を導入して業務判断を自動化・最適化する。情報システム部の遠嶋一郎副部長は「重要なのはサービスの価値向上だ。オペレーションを見える化し、蓄積したノウハウを融合して現場力を強化する」と説明する。取り組みのキーワードは「技術と人とのコラボレーション」。完全自動化では多様な需要への対応が難しくなるためだ。

 DX戦略としては、国内外一体のデジタル物流プラットフォーム(PF)を構築する方針。PFはさまざまなシステムと連携し、サプライチェーン(SC)と物流を見える化・最適化する。顧客の課題解決に貢献し、先端技術を活用した高付加価値なサービスを生み出す。CO2(二酸化炭素)排出量の可視化と削減も容易になる。

 同社は特に20年以降、デジタル化・DXの取り組みを次々と具体化させてきた。例えば、貼り替えなしにデータを更新できる「スマートバーコード」を提供するLOZI(ロジ)とリアルタイムで貨物を追跡する実証実験を行った。GROUND(グラウンド)のAI物流ソフトウエアも複数拠点に導入。在庫配置やピッキング順の最適化に向け、機械や医薬品、食品などに対象を広げている。

 埼玉県や大阪府の倉庫群では、「医薬品エリア共同化システム」を稼働させた。各倉庫の作業量予測や作業進捗(しんちょく)の可視化を行い、複数倉庫間の人員配置の最適化を図る。複数倉庫の一体運営により、BCP(事業継続計画)対応も強化する。

 新たなコンセプトのEC(電子商取引)物流センターとして、埼玉県三郷市に新設したのが「SharE Center misato(シェア・センター・ミサト)」だ。ギークプラスのAMR(自律走行型搬送ロボット)「EVE(イブ)」とロジザードのEC用WMS(倉庫管理システム)を活用し、従量課金制でサービスを提供。顧客の事業拡大にスピーディーに対応する。

 新規事業を創出しイノベーションを起こすには、外部のパートナーとの協業も重要になる。このため、スタートアップなど100社以上とつながりを持ち、ワークショップやオープンラボ、アクセラレータープログラムを始めた。既にファンド2本に計13億円を出資しており、今後は50億円規模のCVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)の組成を予定する。