Rightship webiner
 印刷 2022年01月05日デイリー版10面

新年号 コンテナ物流・港湾編】安田倉庫、DX戦略始動 33施策推進

DX事業推進室の新井康一室長(右)と鈴木貴之チーフ
DX事業推進室の新井康一室長(右)と鈴木貴之チーフ
倉庫内に設置したラボで、RFルーカスのRFID技術×AMRを実証
倉庫内に設置したラボで、RFルーカスのRFID技術×AMRを実証

 安田倉庫は2021年2月、営業企画部に「DX事業推進室」を設置し、DXへの取り組みを加速している。同室を中心に 1.社会課題の解決と価値創造 2.業界ナンバーワンの現場力とコスト競争力の実現 3.人間力を生かしたイノベーション創出企業風土の確立 4.卓越した提案力で革新的なビジネスモデルを創造――を核とするDX戦略を策定した。戦略の下で33の施策を推進していく計画だ。

 そのうち、難易度と効果、中長期的な視点での重要性から、優先的に進める施策として10件を選定。21年10月から実行に移している。例えば、21年2月に出資したスタートアップ、RFルーカスとの実証実験。同社はRFID(無線自動識別)タグにより、物品の位置を特定する特許技術を持つ。複数の物品の位置情報をハンディーリーダーなどで一括収集し、デジタルマップ上に表示する技術の特許も保有する。

 この技術により、在庫のロケーション管理やステータスの可視化が可能になる。リーダーを搭載したAMR(自律走行型搬送ロボット)と組み合わせ、棚卸しを省力化するなどさまざまな活用が考えられる。店舗など倉庫の外までカバーするソリューションに展開できる可能性もあるという。安田倉庫はIT機器のキッティング、初期導入から運用・保守、回収・データ消去・廃棄までを提供するライフサイクルマネジメント、医療機器のローナー業務(メンテナンス、洗浄、返却検査)やアパレル分野などでの活用を想定し、検証を重ねていく。

 AI(人工知能)の活用も検討している。医療機器やIT機器の業務に画像認識技術を導入し、人手で行う業務を支援する考えだ。

 22年1月をめどに、ロボティクスの実証実験も始める計画。庫内のピッキング業務へのAMR導入を検討し、対象の商品、倉庫の特性に合わせて複数のAMRを検証する。作業者の負荷軽減を図り、運搬業務のAGV(無人搬送車)での代替も検討する。

 定型業務を自動化するRPAについては、19年から取り組んできた。中国現地法人の安田物流などを含め、グループ全体で大きな成果が出ているという。改めて、今期は年間作業時間5000時間の削減効果を上積みする目標を設定した。

 今後はDX人材の育成にも注力する。全社員に研修を行うとともに、各拠点で取り組みをけん引するDX推進担当者を選び、ナレッジを全社で共有。イノベーションを起こす風土を醸成する。「若い人材を中心に全社を巻き込み、現場発のDXも促して取り組みにドライブをかけていく」とDX事業推進室の新井康一室長は意欲を示す。

 取り組みの軸は、顧客サービスの価値向上にある。最終的な在るべき姿として、「社会課題に先進的に取り組み、企業価値を向上し全てのステークホルダーからの信頼と評価を獲得する」を目指し、歩を進める。