Rightship webiner
 印刷 2022年01月05日デイリー版10面

新年号 コンテナ物流・港湾編】澁澤倉庫、デジタル化で専門性追求

浅原上級執行役員(左)と総合企画部の吉野祐司部長代理
浅原上級執行役員(左)と総合企画部の吉野祐司部長代理
松戸営業所にAGVを導入し、生産性を約3割向上
松戸営業所にAGVを導入し、生産性を約3割向上

 澁澤倉庫はデジタル化・機械化を推進し、物流事業の専門性の追求と業域の拡大を目指す。専門性を追求する狙いは、得意とする分野の業務の効率化、競争力強化とカテゴリーナンバーワンの確立。2019年に始めた競争力強化プロジェクト(PJ)の一つとして、多品種少量貨物を扱う現場の効率化に取り組んでいる。

 機械化をツールにデータを活用し、スペースの使用効率を引き上げ、人員配置も最適化する。マンパワーとオートメーションを融合したハイブリッド型の業務フローで、繁閑差や仕様の変化に柔軟に対応する現場を構築。効率を最大化していく。

 その一環として、松戸営業所(千葉県松戸市)をモデル営業所に選び、21年5月にAGV(無人搬送車)18台を導入した。アパレル商品の出荷、返品業務の仕分け工程で活用し、処理能力を3―4倍に向上させ、生産性を約3割引き上げた。

 松戸営業所では電子棚札も活用し、ピッキングラックの商品の在庫量とロケーションを見える化した。これにより、商品を補充しやすくなり、出荷頻度に合わせてロケーションを機動的に変更できるようにもなった。これまでに400枚以上を導入し、対象業務の保管スペースを2―3割削減。同営業所では今後、ピッキングの自動化・省力化も検討する。

 このほか、PJでは自動ラックシステムや音声ピッキングシステムなどさまざまな技術を検証している。浅原邦康上級執行役員は「トライ&エラーでさまざまなイノベーションの活用を検討し、効果を上げていきたい」と話す。

 一方で、デジタル化・機械化で蓄積したデータを業域の拡大にも生かす。自社開発のWMS(倉庫管理システム)にAI(人工知能)を組み合わせ、ビッグデータを分析。顧客の在庫の最適化、販売拡大をサポートする。物流コストばかりでなく、調達から製造、販売まで顧客のサプライチェーン全体の最適化を提案し、30年を見据えた長期ビジョンに掲げる「効率追求から価値創造へ」を具現化していく。

 PJとは別に、RPA(定型業務の自動化)の導入にも全社で取り組む。荷さばき部門では特定顧客の輸入通関でインボイスの読み取り、申告に必要なデータ作成、HSコードの割り当て・関税計算を自動化するロボットを作成した。現在は請求書の作成・自動送信などの開発を進めている。

 国際部門では本船の動静を船社などから自動収集し、顧客に提供する業務にRPAを活用。さらに、貿易代行業務でEPA(経済連携協定)の特恵関税の活用などの提案に展開し、顧客の調達支援につなげるアイデアを練っている。

 デジタル化・機械化による効率化は、CO2(二酸化炭素)排出量の削減にもつながる。22年3月期―24年3月期にはDX・機械化・自動化にサステナビリティー(持続可能性)と併せ、累計35億―70億円を投資する計画だ。