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 印刷 2022年01月05日デイリー版10面

新年号 コンテナ物流・港湾編】三井倉庫HD、圧倒的現場力を核にDX

オペレーション統括部の塩瀬部長
オペレーション統括部の塩瀬部長
表・グラフ

 三井倉庫ホールディングス(HD)は、DXの取り組みを本格化している。2021年11月に発表したDX戦略の下、SCM(サプライチェーン・マネジメント)情報のデジタル化・見える化を社会価値の創出に生かす「デジタル物流企業」を目指し、SCMデジタルプラットフォーム(PF)を構築。データを活用し、経済発展と社会課題の解決を両立するデジタルエンタープライズ(ソサエティー5.0)の世界の到来に対応する。25年3月期までに約100億円を投資する計画だ。

 戦略の原点は港湾の倉庫にある。まず港湾倉庫の生産性を向上し、ローコストで高品質なオペレーションを提供する「圧倒的な現場力」を構築し、グループのベースを強化する狙いがあった。これによって顧客サービスを向上するばかりでなく、倉庫の受け入れ能力を拡大する。そこでSC全体を見える化・分析し、最適化する新たなサービスを提供し、顧客のニーズに対応する。

 そのためのツールをPFと位置付け、PFで社内外がつながり、事業の最適化と変革を図るDX戦略を練り上げた。中心となったオペレーション統括部の塩瀬健介部長は「時代の変化に対応し、DX戦略を『あるべきゴール』として現状とのギャップを埋めるべくチャレンジしていく」と話す。

 同部は19年4月の発足から2年かけ、現場力の強化に向けて三井倉庫の全拠点の業務手順を可視化した。庫内の各工程にかかる時間を「原単位」として秒単位で計測。21年度はムリ・ムダ・ムラを洗い出し、手順を「標準」と顧客の要望に合わせた「個別」に仕分け、標準部分の改善に取り組んでいる。今後は標準化したオペレーションのデジタル化とテクノロジーとの融合を進めていく。

 その一環として、倉庫のバース予約システムを自社で開発し、モデル事業所に導入した。同システムは「荷積み」「荷降ろし」の原単位に対応し、正確な作業計画策定のための入出庫データを収集する。そのデータを要員配置の最適化に活用する検証を進めている。この仕組みをPFに連携させれば、顧客にとっても自社の貨物の状態が見えるようになり、それが三井倉庫グループの提案活動の種になる。塩瀬部長は「ロボットなどのツールありきではない。デジタルはツールであり、使うのは人」と強調。「生産性の向上と顧客にとって何が最適かの視点からツールを選ぶ」と説明する。

 DX戦略では、SC全体を視野に新たなビジネスモデルを創出するため、社内外の協創も打ち出した。21年8月には、貿易情報連携PFを運営するトレードワルツに出資した。三井倉庫HDは自社のPFを他の物流会社なども広くシステム連携できる形で構築しており、同時にデータの閲覧・活用権限は荷主が設定できる仕組みを取っている。セキュリティーを担保しながら実物流のデータを活用し、顧客と共に改善に取り組んでいく考えだ。