印刷 2022年01月01日デイリー版4面

新年号 海運・造船編】海運大手3社トップに聞く、新年の抱負。商船三井・橋本剛社長、成長する領域に投資を集中

商船三井 橋本 剛社長
商船三井 橋本 剛社長

 ――2022年はどんな年になると見ているのか。

 「相当、見通しが難しい年になる。新型コロナウイルス感染拡大の状況は予断を許さないが、いずれはポストコロナ時代に移行し、世の中は徐々に正常化するのだろう。そうなれば今の物流混乱も収束し、歴史的な高値となったコンテナ運賃も調整局面に入ってくる。一定程度の業績の落ち込みは避けられないだろうが、その実現時期を予測するのはさまざまな要因が錯綜(さくそう)しているので困難だ」

 「また、世界経済全体も楽観視できる状況ではない。中国でも景気が減速傾向にあるほか、米国ではここ数年続いていた財政刺激策もあって、インフレ懸念が強まっている。22年後半から23年にかけて事業環境は厳しいものになる、という前提で考えておかないといけないだろう」

 ――厳しい中、どういうことに心掛けていくか。

 「事業環境の変化と関係なく、もはや環境対応は待ったなしだ。21年6月、50年のネットゼロ・エミッション達成に向けた『商船三井グループ 環境ビジョン2.1』を打ち出した。その道筋を切り開くため、35年までにネットゼロ・エミッション船約110隻を整備すると宣言した。決して簡単なものではないが、世の変化はどんどん進んでいるので、しっかり具体化していきたい」

 「海運市況の追い風で21年度は好業績だったが、22年度は経営の真価が問われる年となる。環境は厳しいが、やるべきことは数多くある。そこは経営トップとしてどれを先に手掛けるか、しっかり優先順位を付け、一つ一つにスピードアップを図りつつ取り組みたい。そして、やるべきことの順番を間違えないようにしないといけない。順番を間違えると、後で高くついてしまう」

 ――次期ローリングプランは。

 「事業ポートフォリオのリバランス(構成比率調整)がテーマになる。海洋や不動産、物流など非伝統的海運の比率は高めていく。現状では非伝統的海運への投資比率は2割程度だが、3割超まで引き上げたい。地域ではアジア、事業は洋上風力など環境系を中心に狙う。従来は一つの案件に時間をかけてじっくり取り組んできたが、リスクを取りつつ複数案件を一気にやるようなスピード感も必要だ」

 「一方で、海運業への継続投資も重要だ。09年に海運バブルが弾けた後、LNG(液化天然ガス)船と海洋事業以外はあまり投資ができなかった。将来の成長のためには投資不足を感じている。ローリングプランで定めた方針に従い、積極的に拡大するビジネス領域へ集中的に投資し、顧客ニーズ・市場ニーズにしっかり応えていく」

 「いまさまざまな手を打っても、その成果がはっきり分かるのは5年以上先。後から、あのときやっておいて本当に良かった、と胸を張って振り返れるようしたい」