印刷 2021年12月09日デイリー版3面

三井倉庫HD・古賀社長、ESG・DX・協創加速。次期中計視野、「物流業界の二極化進む」

会見する古賀社長
会見する古賀社長

 三井倉庫ホールディングス(HD)の古賀博文社長らは8日、東京都内の本社で会見し、同社の最近の取り組みを説明した。同社は2023年3月期から始まる次期中期経営計画を見据え、ESG(環境・社会・企業統治)、DX(デジタルトランスフォーメーション)、社内外の協創への取り組みに力を入れる。海外事業では中国・東南アジア展開を強化する方針だ。古賀社長は環境変化によって物流業界では「勝ち負けの二極化が進む」との考えを示し、次期中計の重要性を強調した。

 ESGへの取り組みの一環として、顧客のサプライチェーン(SC)サステナビリティー(持続可能性)の実現を支援する新サービス「三井倉庫SustainaLink(サステナリンク)」を始めた。ビール会社の工場の門前倉庫を設置し、CO2(二酸化炭素)排出量とトラック台数を大幅に削減するなど実績も上げている。中国では輸入貨物の上海から武漢への国内輸送でトラックから内航船へのモーダルシフトを実施。行政の補助金も活用し、総コスト、CO2排出量ともに減らすことに成功した。

 DXに向けては先月発表したグループ戦略の下、25年3月期までに約100億円を投資する。SCMデジタルプラットフォーム(PF)に情報を集約し、グループ内の事業を最適化。さらに顧客のSCを見える化し、複数拠点の在庫の可視化など新サービスを開発する。投資の30―40%はシステムのクラウド化に充てるという。

 協創については特に異業種との取り組みに力を入れ、貿易情報連携PF「TradeWaltz」を運営するトレードワルツに出資した。自社のSCMデジタルPFとTradeWaltzとの連携により、物流、金融、商流のSCM情報を一元管理できるようにし、顧客のDX推進や物流最適化のサポート体制を構築して効率化・差別化を図る。同時に、物流業界にとってのTradeWaltzの利便性を高めていく考えだ。このほか、顧客のEC(電子商取引)事業への進出支援のため、GMOシステムコンサルティングなどと業務提携した。

 社内協創に向けては、社内の知識や情報にアクセスしやすいナレッジ基盤構築を目指し、ポータルサイトを一新。HD本社3階にグループ社員専用の共有スペース「PARK(パーク)」を6月に新設した。

 海外では日系顧客の海外展開のサポートを第一に、非日系顧客の開拓にもアジアを中心に取り組む。その方針の下、デンマークを本拠にEC物流などを手掛けるフォワーダー、プライムカーゴをDSVパナルピナに昨年売却。また、グループ各社の海外拠点の物流機能やキャリアーからの仕入れの統合を進める。

■自ら変革、価値創造

 三井倉庫HDは17年3月期に256億円の減損損失を計上したのを機に、18年3月期―22年3月期中計で構造改革に取り組み、目標を大きく上回る成果を上げた。22年3月期の営業利益率は7・5%(17年3月期2・6%)に達する見通しで、22年3月末の有利子負債残高は970億円(同1689億円)を見込むなど財務基盤の再建にもめどを付けた。

 ただし、古賀社長は「ここが今後のスタートライン」と位置付ける。人手不足や物流業の装置産業化による異業種の参入、さらに新型コロナウイルス禍などの環境変化への対応が物流企業にとっての分かれ目と想定し、「環境変化に対処し、真の『ファーストコールカンパニー』を目指して自ら変革することが必要だ。新たな価値を生み出し、より良い社会と自らの成長を実現したい」と力を込めた。