印刷 2021年12月09日デイリー版1面

Marindows、「デジタルで革命」。石井取締役が抱負。2億円資金調達

 世界初となる海洋OS(基本ソフト)の開発と普及を目指すスタートアップ「Marindows」は8日、シードラウンド(創業前または創業後間もない時期)として総額2億円の資金調達を実施したと発表した。今回の資金調達ラウンドでは、事業シナジー(相乗効果)が見込める旭タンカー、カシワテック、商船三井、ワールドマリンの4社が参加した。このほどMarindowsの取締役に就任した三菱商事の石井基樹船舶・宇宙航空機本部長は日本海事新聞の取材に対し「デジタルの力を借りて海運業界で革命を起こしていきたい」と意気込んだ。

 Marindowsの評価額は今回の資金調達により、約18・5億円となった。

 「Marindowsは増資したことで、より大きく活動していけるようになる。今まではFS(フィージビリティースタディー=実現可能性調査)の会社だったが、大きな資金を預かっているので、とんがっているところはとんがっているなりに、常識的なところは常識的に、バランスを取りながら事業を進める」(石井取締役)

 同社は「価値」を創り、「価値」を売ることを商売の本質として位置付け、船員課題、安全課題、そして環境課題の解決に取り組んでいく。

 調達した資金を活用し、2022年10月の立ち上げを目指して、海事産業で最も深刻で喫緊な「安全」と「人」の課題に対する解決策となるフェーズ1の各種サービス開発加速と早期事業化につなげる。フェーズ1ではまず「Marindows PF(プラットフォーム)」、労務管理アプリ、船版ドライブレコーダー、健康管理アプリの開発と導入を図る。

 Marindowsの末次康将CEO(最高経営責任者)は「デジタルで革新を起こせるのは既存のメーカーではない。企業や国の枠組みを超え、同じ未来を見る企業が集まって、オープンイノベーションを作ろうとしている」と話す。

 各アプリケーションは、現場レベルでのDX(デジタルトランスフォーメーション)を加速させるため、船員標準業務支援端末「Mフォン(Marindows Phone〈仮称〉)」に搭載する。

 同端末は誰もが確実に手が届く価格と、スマホの使い勝手をフル活用した誰もが使える操作性を両立させ、船員の業務負担を軽減させるだけではなく、「安全」と「健康」の大幅な向上につなげる。さらに、パートナー企業の協力を得ながら、グローバル市場や陸上市場の「現場DX端末」としての普及を視野に開発を行う。

 併せて昨今増加の一途をたどる海難事故に全力で挑戦するために、ネットワーク型ドライブレコーダー「ドラれもん(仮称)」とネットワーク型ポータブルナビ「ナビ子ちゃん(仮称)」を展開し、全ての船への標準搭載を目指す。

 「船版のドライブレコーダーやカーナビなどは、実質ゼロ円で満遍なく広めていくことを目指している。まずは利益度外視で、もうけはアプリケーションやサービスなど他のところで出す。ユーザーが楽に安全になったとなれば、利益という結果は後からついてくる」(末次CEO)

 同社は船員の高齢化やGHG(温室効果ガス)排出削減といった課題に直面する内航海運のマーケットを重視しつつ、24年以降のフェーズ4では漁船やプレジャーボートなどとの連携も図ることを構想している。