印刷 2021年12月09日デイリー版4面

貿易手続きとインフラ構造改革】(85)国際ロジスティクスアドバイザー・平田義章「改革の経済効果」(4)、目標を設定し改革実行

表・グラフ

 これまで、輸出入貨物のリードタイムを短縮する経済効果について、その実行策を個々に述べてきた。ここでそれらを取りまとめ、向かうべき方向について総括する(表)。

 ◆変化への対応とインフラの刷新

 いま、国際貿易におけるロジスティクスの効率化に向け、グローバルなサプライチェーンの最適化が求められている。欧米諸国の例をみると、輸出では仕向け国の輸入者の拠点のドアで貨物を引き渡す例も多く、一方、輸出者の工場で輸入者に貨物を引き渡す契約もある。

 輸入でも、輸入者が仕出し国の輸出者の拠点ドアで貨物を引き取る例や輸出者が相手国の輸入者の拠点のドアまで配送する場合もある。貿易取引は、もはや港湾で仕切る形態ではない。

 しかし、わが国では輸出入貨物の通関を含めた受け渡しの起点が基本的に港湾となっている。ドア・ツー・ドアの受け渡し条件の設定は容易ではない。船積みや引き取り時間の短縮により売り上げの増を求めるためにも、まずは港湾への集中を排除する必要がある。

 ◆国際競争力の低下続く

 新型コロナウイルス禍を契機として、わが国でもデジタル化の進展が顕著である。スタートアップや既存のフォワーダーを含め、新たな市場を開発する動きが注目される。

 港湾の分野では、国土交通省が主導するサイバーポート(港湾関連データ連携基盤)の第1次運用が、本年4月1日から始まっている。デジタル時代への対応と企業を変革するDX(デジタルトランスフォーメーション)に大きく期待したい。ただし、港湾物流手続きの電子化により手続きそのものが迅速化したとしても、さらなる簡素化の実現には制度自体の改革が求められよう。

 当紙に連載寄稿されている危機管理コンサルタント山崎正晴氏は、「日本のDXの惨状、国も企業も危機意識希薄」と警鐘を鳴らしている。同氏によると、日本はIMD(国際経営開発研究所)の「世界デジタル競争力ランキング」で2017年に27位、21年に28位と低迷したままという。同氏は「まずはトップの意識改革、それができなければ交代だ」とし、その上で必要なのは「『いつまでに何を目指すか』という具体的達成目標の設定だ」とする(注1)。

 世界銀行の「ビジネス環境の現状(Doing Business)」20年版では、貿易手続き分野での日本の順位は前年の56位から57位となり、欧米諸国ならびに韓国や中国よりも低い(注2)。

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 (注1)「リスクと生きる」(56)山崎正晴・危機管理コンサルタント:日本のDXの惨状、国も企業も危機意識希薄、日本海事新聞、21年10月29日

 (注2)世銀・事業環境ランキング、日本の貿易手続き3年連続低下、日本海事新聞、19年11月19日

(国際ロジスティクスアドバイザー)

=隔週掲載