印刷 2021年10月26日デイリー版4面

記者の視点/梶原幸絵】コロナ禍で脚光、物流業界PRのチャンス

 新型コロナウイルス禍も、そう悪いことばかりではない。改めて、そう考えさせられる話を聞いた。

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 ある外資系フォワーダーでは、2022年度採用の応募者が例年を大幅に上回ったという。聞くと、コロナ禍でも物流は日常生活のために欠かせないエッセンシャルワークであり、不況などにも強い、「堅い」業種だという考えらしい。

 確かに、昨年の新型コロナの感染拡大以降、「物流」や「サプライチェーン」という単語を一般報道でも頻繁に見掛けるようになった。最初はトイレットペーパーの品薄騒動だっただろうか。メーカーに在庫があるにもかかわらず、店頭に届かない理由が解説されていた。次に、「巣ごもり需要」による宅配の急増や「置き配」サービスの本格化などが報じられ、最近は国際物流の混乱やサプライチェーンの需給ギャップが問題視されている。

 先の外資系フォワーダーの幹部は、「この機を逃さず物流業界をPRしていきたい」と意気込む。まずは大学や情報企業などが開く就職セミナーに積極的に参加していきたいという。「まだ具体化していないが、物流の魅力を分かってもらえるよう、いろいろアイデアを練っていきたい」と同社幹部は目を輝かせていた。

 情報提供だけでなく、インターンシップ(就業体験)なども効果的だろう。日本物流団体連合会(物流連)は毎年、インターンシップを行っている。今年度のインターンシップはオンラインを併用し、北海道から九州まで多くの学生が参加した。物流連によると、参加者へのアンケートでは、「物流業に対する理解が深まった」「業界への就職希望も強まった」との回答が多数寄せられた。

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 物流業界の発展のためには、人材育成の取り組みも欠かせない。昨年4月、ヤマトホールディングス(HD)、SBSHD、鈴与グループの寄付を受け、東大先端科学技術研究センターで「先端物流科学」講座が始まった。その後、この寄付講座には日本GLPのグループ会社で物流システムなどを提供するモノフルなども参画。物流業界のデジタルトランスフォーメーション(DX)を目指し、文系・理系を横断する幅広い知識を持つ人材の育成が進んでいる。

 このほか、物流関連の各業界団体、行政も見学会や研修などに取り組んでいる。新型コロナで物流が注目されているいまはチャンス。個社で取り組んでもいいだろうし、業界団体の活動に参加するのもいい。業界を挙げ、少しでもPRを増やしていくことが求められる。