ロシア鉄道回廊の可能性 -日本発欧州向けの新ルートへ-
 印刷 2021年10月21日デイリー版3面

世界のコンテナ船社と港湾、大型船発注増など指摘。流通科学大森氏が講演、大阪港振興協会など主催

流通科学大学の森名誉教授がコンテナ船社やターミナルオペレーターの最新動向を紹介した
流通科学大学の森名誉教授がコンテナ船社やターミナルオペレーターの最新動向を紹介した

 【関西】大阪港振興協会と大阪港埠頭会社は19日、冊子「世界のコンテナ港とターミナルオペレーターの現状2021年度版」の発行を記念し、冊子を監修した流通科学大学名誉教授の森隆行氏を講師に迎えた講演会を大阪市内で開いた。森氏は2万TEU型の超大型コンテナ船の発注増や、大手ターミナルオペレーターがいまもターミナル事業を収益性が高いと見ていることなどを指摘した。

 森氏は、最初にコンテナ船社とコンテナターミナルの環境変化に言及し、主要事例に新型コロナウイルス感染症問題による米中間などの物流混乱と海上運賃上昇、米国西岸におけるコンテナ船の沖待ち、大手小売り系荷主による自前での船舶確保の動きなどを挙げた。

 こうした中で、3大アライアンス参加船社が2万TEU型船発注を進めていることを紹介。MSCやCOSCO、ハパックロイド、ONEなどの発注残を示し、3大アライアンス内で2万TEU型を運航していない船社は陽明海運だけとなったと指摘した。

 一方、最大手マースクラインに船腹量拡大が見られないことについて、同社が投資を船舶からその他の物流事業に集中していると分析。同時に船社の経営戦略の変化にも触れ「IT・デジタル化が着実に進展している」と述べた。

 海運デジタルプラットフォームのトレードレンズ(TradeLens)、グローバルシッピングビジネスネットワーク(GSBN)には船社やターミナルオペレーターが続々参加し、「ブッキングのデジタル化など顧客が選別される時代」と森氏は示唆。船社も多角化とコンテナ事業集中化の二極化の傾向があるとした。

 ターミナルオペレーターの現状では、英海事機関ドゥルーリーによるグローバル型▽ハイブリッド型▽キャリア型―の3分類を紹介。グローバル型や、コンテナ船とターミナルの両事業のハイブリッド型は利益創出部門なのに対し、キャリア型はコスト部門となることを説明した。

 その上でDPワールドやハチソン、APMターミナルズ、PSAなどグローバルターミナルオペレーターの業績分析で、各社が数十億ドル単位の売り上げと20―50%超の利益率を確保していることから、「今後も有望な産業で、投資は継続される」と見通しを示した。

 また地球環境への対応について、30年目標で主要国が二酸化炭素排出量の3―5割超の削減を掲げていることや、港湾でもカーボンニュートラルの取り組みが始まっていることも紹介。港湾のカーボンニュートラル化の具体例には、接岸中の船舶への陸上給電や、LNG(液化天然ガス)バンカリング(燃料供給)の実施などを挙げた。