印刷 2021年10月12日デイリー版4面

インターリンクがウェビナー、荷主と運送人の責任範囲は? 仁井弁護士「責任制限の排除に注意」

 外航貨物海上保険に強みを持つ保険代理店インターリンク(東京都港区)は6日、荷主と運送人の責任範囲、カーゴクレーム(損害賠償請求)の基礎を解説するウェブセミナーを開いた。講師の仁井稔大弁護士(岡部・山口法律事務所)は貨物事故時、運送状裏面約款にある運送人の責任制限が排除される場合があることについて、荷主や輸送事業者ら視聴者に注意喚起した。

 一般的に、貨物事故の損害額が責任制限額の上限を超えた分については、運送人は裏面約款により免責になる。ただし、この規定が排除される(Limitation Break)場合がある。

 仁井弁護士によると、高額品などの国際海上運送で責任制限を排除するための要件は、 1.運送の委託の際、荷送り人から運送人へ運送品の種類と価額を通告する 2.船荷証券(BL)が発行されるときはBLに運送品の種類と価額が記載されている―の2点。国際航空運送では、 1.運送の委託の際、荷送り人から運送人へ運送品の価額を申告する 2.追加料金が必要なときに支払った―の2点となる。これらの場合、運送人は荷主に責任制限を主張できない。

 海上・航空運送で共通の原則は、運送人が運送品の価値を知らされていることだという。すると、運送人は運送品の価値に合わせた運び方ができると考えられる。

 荷主としては、高額品の事故時の損害を全額請求するには運送人に価額を通告し、割増運賃を支払った証拠を残すことが重要になる。運送人としては割増運賃を設定し、運送品の価額が賠償保険の限度額を超えていないか確認することが必要だ。

 特に、運送人がNVOCC(海上利用運送業者)であれば荷主と同様、船社に価額を通告し割増運賃を支払い、証拠を残さなければ責任を負うことになる。仁井弁護士は「責任制限の排除は日ごろあまり意識されることはないが、実際に起これば運送人は大変な(責任を負う)ことになる」とリスクを強調した。