ロシア鉄道回廊の可能性 -日本発欧州向けの新ルートへ-
 印刷 2021年10月08日デイリー版1面

常石造船、新技術適用船建造へ。三井E&Sと関係強化、新事業創出も視野

7月に竣工した「ハイドロびんご」
7月に竣工した「ハイドロびんご」

 ツネイシホールディングスグループ(常石グループ)の常石造船は、新技術を適用した船舶を相次いで建造する。先月、水素混焼エンジン搭載型タグボートと、天然ガス専焼エンジンなどを利用したハイブリッド推進システム船の建造計画が明らかになった。三井E&S造船の一部株式取得作業も完了したことで、同社が得意のガス関連、自律運航船分野での新事業創出なども視野に入る。

 水素混焼エンジン搭載型タグボートの建造計画は、ジャパンハイドロが9月24日発表した。同社は、ベルギー海運大手CMBと、常石グループのツネイシクラフト&ファシリティーズ(ツネイシC&F)、神原汽船が出資する。常石造船が建造、船主・運航業務を神原汽船と神原タグマリンサービスが担当する。船型開発はツネイシC&Fと常石造船、水素部位開発はCMB技術開発子会社CMBテックとジャパンハイドロが手掛ける。2023年の竣工・引き渡しを目指す。

 常石グループでは、ツネイシC&Fが7月、世界初の水素混焼エンジン搭載小型旅客船「ハイドロびんご」(19総トン)をジャパンハイドロに引き渡した。水素と軽油の混焼エンジンを2機搭載した双胴船で、これまでのディーゼルエンジンと比較して最大50%のCO2(二酸化炭素)排出削減を実現した。今回建造するタグでは、より高出力船舶への水素エンジン適用を実証する。さらに中期ビジョンとして、今後5年間で内航ゼロエミッション船の開発・実証運航を目指す。

 9月末には、常石造船のほか、日本製鉄、NSユナイテッド内航海運などが、天然ガス専焼エンジンとリチウムイオンバッテリー(2847キロワット時)を組み合わせたハイブリッド推進システム搭載の内航石灰石船(約5560重量トン型)の建造計画を明らかにした。

 同船を常石造船が建造するほか、推進装置は川崎重工業が開発する。巡航時は川崎重工が開発した天然ガス専焼エンジンで、入出港時や停泊時はバッテリーで、それぞれ推進力や船内電力を供給する。同推進装置により、従来の同型船と比べ、CO2排出削減効果は23・56%(常用出力時約30%)を見込む。天然ガス専焼エンジンの排ガス中にはSOX(硫黄酸化物)成分はほとんど含まれず、NOX(窒素酸化物)排出量は3次規制値を大きく下回るとしている。

 常石造船は今月に入り、三井E&S造船を傘下に抱える三井E&Sホールディングス(HD)との間で、三井E&S造船の発行済み株式の49%を常石造船が取得する取引を終えたことを発表した。三井E&S造船が培ってきたガス関連技術を活用できるほか、デジタル分野では、三井E&S造船が得意とする自律運航船での共同の取り組みも検討する。