印刷 2021年09月30日デイリー版11面

記者の視点/梶原幸絵】デジタルFW、新市場開拓のツールに

 日本通信販売協会によると、2020年度の通信販売の売上高は前年度比20%増の10兆6300億円となった。1999年度以降、22年連続で増加しており、20%以上の伸び率となったのは初めてだという。直近10年の年平均成長率は9%だった。

 また、経済産業省の調査では越境EC(電子商取引)の20年の市場規模は日本が前年比8%増の3416億円、米国が10%増の1兆7018億円、中国が16%増の4兆2617億円だ。

 新型コロナウイルス禍をきっかけに、通販が買い物の手段として広がったことがうかがえる。考えてみると、食品、日用品からこだわりの逸品まで、いまや買い物の大半をオンラインで済ませることができるようになっている。

 それだけ、多様なEC事業者が市場に参入している。EC物流を専門とする事業者に聞くと、個人事業主から大手メーカーまでさまざまなプレーヤーが事業を伸ばしているという。

 国際物流分野でも、利用者が業務をオンラインで完結できるデジタルフォワーディング(FW)への取り組みが加速している。米国のフレックスポートを筆頭に各国でデジタルフォワーダーが立ち上がり、日本ではShippio(シッピオ)が知られている。EC事業者をはじめ大手フォワーダーの手が回らない中小の荷主企業を主なユーザーとして、業容を拡大していると聞く。

 既存のフォワーダーがデジタルFW機能を提供する例も増えている。先行したのは、独ドイツポストDHLをはじめとする外資の大手フォワーダー。国際物流を一元管理するプラットフォーム(PF)を提供し、さらにスタートアップや中小荷主に向けたサービスも用意している。スタートアップの成長を支援する体制まで構築しているケースさえある。

 これら中小荷主との取引は、既存のフォワーダーは敬遠する印象だった。利益率は高いが物量がまとまらず、相手が貿易業務に不慣れなこともあり、手間がかかる。しかし、スタートアップや外資の大手フォワーダーはテクノロジーの力でそうした課題を解決し、新市場を取り込もうとしている。

 日本企業も負けてはいない。デジタルFWを新たな荷主群との接点にしようと郵船ロジスティクスが取り組みを拡充しており、日新も8月、デジタルFWの提供に向け、航空輸送のオンライン見積もりサービスを始めた。鴻池運輸も昨年、オンラインでの見積もり開始を発表。アジアからの輸入物流を強みとするエフシースタンダードロジックスは、年内にデジタルFWを本格化することを明らかにしている。

 一定規模以上の荷主の既存市場を深耕するのも戦略の一手ではある。しかし、新たな市場はコロナ禍もきっかけに急拡大している。フォワーダーにとっては、今後はこの分野への取り組みが重要になりそうだ。