印刷 2021年09月22日デイリー版3面

オフィスグリコ、新タイプの保冷剤を導入。アイスクリーム配送用、ドライアイスを代替

板状の保冷剤「Fujiyama 18 Pro」を手にするスタッフ
板状の保冷剤「Fujiyama 18 Pro」を手にするスタッフ
マイナス21度で凍結するので、一般的な冷凍庫で運用できる
マイナス21度で凍結するので、一般的な冷凍庫で運用できる

 江崎グリコの子会社で、オフィス向けの置き菓子サービス「オフィスグリコ」などを手掛けるグリコチャネルクリエイトは今夏、アイスクリームの配送用にドライアイスの代替となる保冷剤を導入した。計3500個を購入し、オフィスグリコの販売センター全60拠点で運用を開始。繰り返し使用でき、成分の安全な新タイプの保冷剤により、コスト削減と業務の効率化、配送現場の安全性の向上を図る。

 導入したのはジャパンコールドチェーン(JCC、東京都目黒区、賀本宗一郎代表取締役)が開発した「Fujiyama18 Pro」(フジヤマ18プロ、以下18プロ)。食品添加物を成分とし、その組み合わせによりマイナス20度を維持する。マイナス21度で凍結するため、一般的な冷凍庫で運用できる。

 ドライアイスに代えて18プロを使うメリットの一つは、ランニングコストの削減にある。販売センター1カ所当たりのドライアイスの費用は1カ月当たり3万―5万円程度。これに対して、18プロはリユース可能なので初期費用だけで済む。グリコチャネルクリエイトでは、この費用も短期間で回収できる見通しだという。

 18プロにより、ドライアイスの発注業務や関連する伝票類もなくすことができた。ドライアイスを使うには毎日発注が必要だったため、業務効率化の効果は大きい。

 加えて、ドライアイスには気化したCO2(二酸化炭素)による中毒や低温やけどのリスクもある。

 導入の背景には、事業継続の観点もあるという。この数年は原料不足と猛暑などにより、ドライアイスの供給が不安定になっており、単価の相場も上昇傾向にある。そこでグリコチャネルクリエイトは2018年、JCCの保冷剤の導入の検討を開始した。

 保冷剤に最初に着目したスタッフを中心に、3人のメンバーでプロジェクト(PJ)チームを結成。アイスクリームの配送時の品質保持を第一に、2年余りをかけて試行錯誤を繰り返し、導入にこぎ着けた。

■60拠点に3500個

 オフィスグリコのサービススタッフは、販売センターで商品一式を積んだ専用ワゴンを携え、周辺のオフィスを巡回して商品の補充や代金回収などを行う。アイスクリームの品質保持にはこの7―8時間の間、マイナス18度以下を維持することが必須になる。

 PJの開始当初、JCCの保冷剤はマイナス18度までのものしかなく配送品質が安定しなかったが、同社は19年に18プロを開発。その後、保冷剤とセットで使う保冷袋を両社で製作するなど工夫を重ね、運用方法を確立していった。グリコチャネルクリエイト事業企画室の伊藤勝弥氏は「アイスクリームの保冷にはドライアイスが当たり前に使われている。それを変えるからには品質保持に万全を期さなければならなかった」と振り返る。

 結果、まず今年4月に販売センター60拠点のうち、20拠点に18プロを導入した。対象となったのは、オフィス街の中心部にありサービススタッフの勤務時間の短いセンターで、18プロ1700個の運用を開始。7月には残り1800個を導入し、全拠点で18プロの使用を始めた。アイスクリームに加え、冷凍食品の保冷用にも使っている。

 18プロの効果は大きい一方、課題もある。例えば、18プロの重さは1個当たり1キロ。1人のサービススタッフが1日に補充するアイスクリームの保冷に必要なドライアイスは1キロ分だったが、18プロは4個・4キロ分が必要だ。サービススタッフの主力は女性なので、負担は軽くはない。

 そうした課題も念頭に、グリコチャネルクリエイトは今後、アイスクリーム配送用の容器やバッグの改良など周辺ツールの改善を続けていく考えだ。伊藤氏は「導入して終わりではなく、ここからが本当のスタート。改善により、現場の使い勝手を高めていきたい」と先を見据えている。