印刷 2021年09月07日デイリー版1面

川崎汽船、航行安全 DXツール紹介。船主安全対策連絡会、42社参加

 川崎汽船は3日、第15回船主安全対策連絡会をオンラインで開催した。船主、船舶管理会社計42社の関係者が参加し、航行安全や環境規制対応などに関する情報を共有・交換した。航行安全に関してはDX(デジタルトランスフォーメーション)ツールとして、ゲーミフィケーションアプリを活用した「“K”AREプログラム」など先進的な取り組みを紹介した。

 「“K”AREプログラム」は、ノンテクニカルスキルを浸透させることにより、ヒューマンエラーに起因する事故を減少させ、大事故を撲滅する取り組み。

 ノンテクニカルスキルとは、コミュニケーションやチームワークなどの人との関係性を重視した社会的・対人スキルを指す。操船技術やルールに関する知識などのテクニカルスキルと対の概念に相当する。

 このプログラムではツールの一つとして、セイファー社(ノルウェー)が提供する教育アプリも活用する。

 同アプリでは、船上で起こり得る具体的な事例をゲーム形式で受講でき、ノンテクニカルスキルについて学びを深めることができる。川崎汽船グループでは同プログラムを2015年ごろから導入している。

 川崎汽船の安全品質管理グループ品質管理チーム長の西尾秀明氏は「航海計器や機関システムなどのハード面は日々進化しているにもかかわらず、依然事故は起こっており、その8割はヒューマンエラーに起因すると言われている。ヒューマンエラーを最小化するには、ノンテクニカルスキルの習得が必要だ」とし、「“K”AREプログラム」の重要性を強調した。その後、オンライン上で、録画した同アプリのプレイ画面が共有された。

 そのほか、環境関連気候変動目標に関する世界の動き▽統合船舶運航・性能管理システム「K―IMS」▽K Line Qualityによる運航品質の向上とPSC指摘事項▽適合油使用に関する技術情報▽SOX(硫黄酸化物)スクラバー(排ガス浄化装置)搭載船不具合情報▽安全運航関連走錨による座礁事故防止▽スマートフォン連動型アルコール検知システム―などに関するプレゼンテーションも行われた。

 また、航行安全の品質に優れた船主を表彰する「2020年度ICBT検船結果に基づく優秀船主表彰」の結果も発表され、くみあい船舶(東京都千代田区)、リベラ(広島県呉市)、恵洋汽船(愛媛県今治市)の3社が選定された。

 最後に浅野敦男代表取締役副社長が閉会あいさつに立った。浅野氏は「新型コロナウイルスの感染拡大が続く中で、中国をはじめ水際対策が各国で強化される中、乗組員の負担も増している。また、地球温暖化で天候の悪化などの課題もある。これらの安全や環境への対応は今後、間違いなく加速していく。そうした中、船主の皆さんとわれわれで共通理解を持って取り組んでいきたい。いつでも双方向でお話をしたい」と述べ、船主、船舶管理会社への引き続きの協力を求めた。