印刷 2021年07月26日デイリー版1面

ホーグ、40年にネットゼロめざす。マルチ燃料船12隻建造へ

LNG燃料などに対応した次世代自動車船(イメージ)
LNG燃料などに対応した次世代自動車船(イメージ)
エンガーCEO
エンガーCEO

 ノルウェーの自動車船・RORO船大手ホーグオートライナーズは、環境に配慮した次世代型自動車船「オーロラクラス」を最大12隻建造する。新設計のオーロラクラスは、LNG(液化天然ガス)など複数の燃料が使用できる主機関を採用。将来、ゼロエミッションのアンモニア燃料に転換することも想定した仕様となっている。書面取材に応じたアンドレアス・エンガーCEO(最高経営責任者)は、「環境に優しい輸送サービスを提供し、顧客のサプライチェーンの脱炭素化を支援していく」と、物流面のGHG(温室効果ガス)排出削減に先進的に取り組む姿勢を示した。

 「当社は2040年までにネットゼロエミッションを達成することを目標に掲げている。その高い目標を実現するための具体的な方策がオーロラクラスになる」

 エンガーCEOはオーロラクラスをシリーズ建造する意義についてそう語る。

 ホーグはこのほど、中国の厦門船舶重工との間で、オーロラクラス最大12隻の建造についての覚書を交わした。第1船は24年初めに引き渡しを受ける予定だ。

 フィンランドの船舶設計会社デルタマリンと開発したオーロラクラスは、既に実用化されている環境負荷の少ない低炭素燃料と、これから実用化されるゼロエミッション燃料の双方に対応していることが最大の特長になる。

 本船に搭載するマルチ燃料エンジンは、独MANエナジー・ソリューションズが開発を担当。環境性能に優れたLNG燃料のほか、低硫黄油(VLSFO)、バイオ燃料に対応している。多少の改良を加えればアンモニア燃料も使用できる。

 エンガー氏は「使用時にCO2(二酸化炭素)を排出しないアンモニア燃料が実用化されたときに、速やかに燃料を転換できる」とコンセプトを説明する。

 オーロラクラスはノルウェー船級協会DNVからアンモニア・レディーの船級符号の付記(ノーテーション)も取得する予定だ。同付記はDNVが新たに開発したもので、付与されるのは初めてになるという。

 燃料以外にも、太陽光発電用のソーラーパネルや電力を蓄えるバッテリー、主機関の排熱回収システムなどを採用。船内のエネルギー効率の最適化を図っている。

 オーロラクラスの積載能力は9100台で、自動車船では世界最大船型になる。代替燃料の使用や環境技術の採用、船型大型化などを組み合わせることで、環境負荷の削減と輸送効率の向上の両立を図る。

■EVにも対応

 エンガー氏は今後の完成車トレードの行方について、「社会のサステナビリティー(持続可能性)への関心の高まりを背景に、EV(電気自動車)のシェアが一層高まっていくだろう」と展望する。

 それら顧客ニーズの変化を見据え、「オーロラクラスは車両を積み込むデッキの強度を高め、全てのデッキにEVを積載できるように設計されている。重量がかさむプロジェクト貨物にも対応できる」(同)。

 ホーグはオーロラクラスの建造計画を公表するのと同時に、上場を検討していることも明らかにした。

 上場時期などについては「具体的なことを言うのは時期尚早」(エンガー氏)とした上で、「グリーントランスフォーメーションとデジタルトランスフォーメーション(DX)に向けた投資を加速させ、さらなる成長を目指すために上場の可能性を検討する」と述べた。

 ホーグは現在、約40隻の自動車船・RORO船をグローバルに運航している。「海運業界の低・脱炭素化に貢献するとともに、顧客のサプライチェーンの脱炭素化を支援していきたい」(エンガーCEO)考えだ。