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 印刷 2021年06月21日デイリー版1面

商船三井、2035年ゼロエミ船110隻。総額1.6兆円、LNG焚き30年90隻。環境ビジョン2.1公表

橋本社長
橋本社長

 商船三井は18日、2050年のネットゼロエミッション達成に向けた「環境ビジョン2.1」を発表した。クリーン燃料としてLNG(液化天然ガス)燃料船を30年までに約90隻(LNG輸送船除く)導入。さらに合成メタンやアンモニア、水素、バイオ燃料への転換を加速度的に進め、35年までにネットゼロエミッション外航船を110隻整備する。LNG燃料船、ゼロエミ外航船を合わせた200隻の船価総額は1兆6000億円規模を見込み、用船や共有を活用して半分程度を自社で投資する。

 「今回掲げた50年のネットゼロエミッションはスコープ1・2・3全てを含めた野心的な目標であり、決して簡単ではない。巨額の投資も必要になるが、不退転の決意で臨む」

 同日、オンライン会見した橋本剛社長はそう語った。

 「環境ビジョン2.1」の中長期目標は3本柱で構成する。

  1.20年代中にネットゼロエミッション外航船の運航を開始 2.35年までに輸送におけるGHG(温室効果ガス)排出原単位を約45%削減(19年比) 3.50年までにグループ全体でのネットゼロエミッション達成――と段階的に目標を引き上げていく。

 クリーン燃料への転換では、20年代はLNG燃料を中心軸に推進。30年代はアンモニア・水素燃料の導入を拡大し、30年代半ば以降はLNG燃料から合成メタンへのシフトを進めていく。

 20年代中に運航開始するネットゼロエミッション船はアンモニア燃料を想定する。硬翼帆による風力推進システム「ウィンドチャレンジャー」やデジタル技術による省エネ運航も追求する。

 35年までに目指すネットゼロエミッション外航船約110隻の整備について、田中利明取締役専務執行役員は「チャレンジングだが、35年目標の45%削減を達成するためには必要な隻数。(未来を起点に解決策を見つける)バックキャストの考え方も含めて設定した」と説明した。

 今回のビジョン2.1は昨年6月公表の「環境ビジョン2.0」をアップグレードした内容。ビジョン2.0では50年目標にGHG50%削減(08年比)、今世紀中のネットゼロエミッションを目指していた。

 今回のビジョン2.1では削減目標の引き上げに加えて、削減対象を拡大。従来のグループ船隊を中心とした「スコープ1」だけでなく、船や燃料の建造・製造過程、外部に販売した燃料などサプライチェーン上の排出量を含めた「スコープ2・3」まで広げる。

 スコープ1・2・3を合わせた商船三井グループの19年度CO2(二酸化炭素)排出量は1488万トン(邦船3社の定期船事業統合会社オーシャンネットワークエクスプレス除く)だった。

 社内の枠組みでは21年度中に事業部門ごとに炭素排出量をスコア化する「インターナルカーボンプライシング」制度を導入予定。

 社会全体のGHG削減への貢献としては洋上風力発電事業やアンモニア・水素などの次世代燃料領域での事業開発も推進。上流から下流までクリーンエネルギーのサプライチェーンに貢献する「海洋クリーンエネルギー事業」へのトランスフォーメーションを目指す。