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 印刷 2021年06月14日デイリー版4面

JILS・国際物流管理士講座説明会、NKKK能勢氏、現場起点でリスク対策を。東海大石原氏、荷主・物流業『同期化』必要

 JILS(日本ロジスティクスシステム協会)はこのほど、「第43期国際物流管理士資格認定講座」のオンライン説明会を開いた。国際物流ではリスクマネジメントの重要性が増している。また、グローバル・ロジスティクスの構築と実践には荷主と物流会社がウィン・ウィンの関係になる「同期化」とそれを担う人材確保が必要だ。これらについて、日本海事検定協会(NKKK)の能勢正貴千葉事業所長、東海大学海洋学部の石原伸志客員教授が解説した。

■リダンダンシーの確保重要

 能勢氏は「国際物流とリスクマネジメント 新たな脅威(COVID―19)の出現」と題し、複雑化する物流リスクと対策、効果を事例を交えて説明した。それによると、貨物事故、異常気象や自然災害のリスク、反日感情やテロなど政治的リスクは、リスクを確認し適切な対策を取ることで、ある程度回避できる。

 また、日本では過剰な物流品質が求められることも課題になる。実害がなくとも外装にわずかな傷があるだけで納品を拒否されることが多く、日本と諸外国とでは「包装」の概念が異なる。これには梱包の強化で対応できるが、コストや廃棄物量の増加など社会潮流と逆行しかねない。

 船舶や航空機の操縦を含め物流現場を担い、管理するのは人であるため、感染症は大きなリスクになる。勤務体制やデータ保管、調達、輸送手段などさまざまな面から分散を進めてリダンダンシー(冗長性)を確保し、全関係者の安全性が継続的に担保されて初めて、リスク対応といえる。

 能勢氏は「多くの荷主は3PL(物流一括受託)により物流を丸投げしている」と荷主にとって物流がブラックボックス化している現状に警鐘を鳴らし、「物流現場を見てほしい」と強調。現場を起点に物流計画や安全対策を考える重要性を説いた。「物流の安定の陰には物流事業者の苦労がある」とも話し、「現場に優しく、より良い品質の物流をどう実現するか講座で話したい」と語った。

■荷主、物流会社が二極分化

 石原氏は「グローバル・ロジスティクスの捉え方と人材育成」をテーマに講演した。石原氏によると、調達・生産・販売・物流の全体最適を図るグローバル・ロジは、各荷主に合わせたオーダーメード型になる。荷主と物流事業者が同期化し、グローバル・ロジを構築・実践するには、物流事業者はハイレベル(高付加価値)の物流を提供し、荷主とゲインシェアリング(成果配分)の仕組みや合弁会社をつくることなどが重要になる。

 物流事業者は「優秀な(知恵を出す)物流事業者」と「普通の(汗を出す)物流事業者」に、荷主は「優秀な荷主企業」と「普通の荷主企業」に、それぞれ二極分化が進んでおり、4者の組み合わせのうち、「優秀な物流事業者は、優秀な荷主との仕事で培ったノウハウにより、普通の荷主企業との仕事で利益を出せる」(石原氏)という。

 ハイレベルなロジには複数の手法があるが、究極は「輸送しないこと」「保管しないこと」。QCDS(品質・コスト・納期・サービス)管理により、調達を安定・確実にしサプライチェーン(SC)を強固にするなど高度なサービスレベルを実現することも挙げられる。

 石原氏は今後のグローバル・ロジの方向性も示した。まず自動車や家電、事務機器など装置型産業では在庫の削減とSCのリスク回避など効率的なSCM(サプライチェーン・マネジメント)が重視され、マーケティング戦略との関係がますます重要になる。ライン・ツー・ライン(生産工程―生産工程)の時間管理まで可能な物流事業者と荷主との同期化も進んでいるという。

 繊維製品など労働集約型産業では、コストとリードタイムのどちらを重視するかで生産拠点が変わる。RCEP(東アジア地域包括的経済連携)協定などの知見も物流事業者に求められる。

■幅広いカリキュラムが特長

 国際物流管理士資格認定講座は1979年、国内唯一の国際物流のスペシャリスト育成講座として開講した。修了基準を満たした受講者に「国際物流管理士」の資格を授与し、1598人の有資格者を輩出してきた。

 今年度は9月―来年3月に全19日間、オンラインで開講する予定。受講料はJILS会員が44万円(税込み)などだが、物流に加えて貿易実務やSC、マーケティングまでカバーする幅広いカリキュラムやグループ討議、現場見学などが特長となっている。荷主と物流企業などから参加者があり、受講者間の交流を通じて国際物流の多様性も理解できる。