日立物流、マースクと業務提携。日本からアジアへ協業拡大
日立物流の中谷康夫社長は4月28日に開催した2021年3月期決算会見で、コンテナ船最大手マースクと業務提携したことを明らかにした。両社のサービスメニューを組み合わせ、日本を中心に海外との輸出入を含めたシームレスなロジスティクスサービスを提供する。マースクとIBMが主導する貿易情報プラットフォーム(PF)「トレードレンズ」と日立物流のSCM(サプライチェーン・マネジメント)最適化を提案するデジタル基盤「SCDOS」での連携や、アジアをはじめグローバルへの協業拡大にも取り組む。
(3面に関連記事)
日立物流はSGホールディングス、エーアイテイー、近鉄エクスプレスと提携するなど「協創」によるエコシステム(経済圏)形成・拡大に取り組んできたが、海外の大手企業との提携は初めて。中谷社長は「両社のサービスメニューをしっかり合体させていく。特にトレードレンズとSCDOSを合体させることにより、相互に大きな協創領域を形成できる」と意欲を示した。
日立物流はマースクのLnS(ロジスティクス&サービス)パートナーとして、3PL(物流一括受託)ソリューションを提供する。日本国内での輸配送や倉庫業務の支援、効率化の提案などを行う。専任営業を派遣するなどマースクと一体となった営業を展開する。
海外事業を統括する神宮司孝副社長は「マースクはさまざまな顧客を持っている。その顧客に3PLを提供する機会を捉えていく」と説明した。
トレードレンズとSCDOSの連携については、「トレードレンズとSCDOSを絡めることでかなり良いPFを構築できる」(神宮司副社長)という。今後、PoC(概念実証)を通じて実現性を検証し、協創領域の拡大を目指す。
日立物流は会見で、23年3月期からの次期中期経営計画に向け、「アジア圏3PLのリーディングカンパニーへ」を打ち出した。中谷社長は「マースクのワールドワイドなネットワークとわれわれのネットワークを結び付け、アジアに進んでいく」と話した。