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 印刷 2021年04月28日デイリー版1面

常石造船、20年受注33隻。ROROやLPG船の建造検討も

表・グラフ

 常石造船、神原汽船などを傘下に持つ常石グループは27日、2020年度の連結業績と事業概況を発表した。常石造船の20年の受注隻数は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴って、海外船主などとの対面営業に制約が発生する中、33隻を確保した。19年は44隻だった。今後は得意領域である中型クラスのバルカーやコンテナ船、プロダクト船に加え、新たな船型としてRORO船やLPG(液化石油ガス)船を常石工場(広島県福山市)で建造することも視野に入れる。

(2面に関連記事)

 常石造船の20年受注隻数の内訳は、バルカー21隻、コンテナ船11隻、その他1隻。

 20年度から工事進行基準を適用した造船事業の20年12月期連結決算は、売上高が前の期比52%増の2496億円だった。21年度は1437億円を見込む。

 同社は今期の受注動向について「21年に入り鉄鉱石の価格上昇などにより中国造船所が値上げに動いており、明るい兆しが出ている」との見方を示す。海運市況も好調を維持していることから、造船市況に波及することに期待感を込める。

 常石造船はマザー工場と位置付ける常石工場、コスト競争力を持つフィリピン工場(Tsuneishi Heavy Industries〈Cebu〉)、中国工場(常石集団〈舟山〉造船)のそれぞれの特長を生かして生産性の向上を図っている。

 20年の建造実績は44隻で、19年から2隻減。内訳は常石工場10隻、フィリピン工場18隻、中国工場16隻となっている。

■プロダクトに集中

 常石造船は中期経営方針として、プロダクト戦略、コスト競争力強化、顧客にとっての価値向上、新たな収益源の創出―の4つを掲げる。

 新船型などのプロダクト領域に経営資源を集中。経営効率、コスト削減、生産性向上を図ることで収益力を高め、環境負荷低減に向けたクリーンテクノロジーへの対応やデジタル化の推進によりブランド価値と顧客生産価値の向上を目指す。

 常石造船の奥村幸生社長は「顧客に貢献し、地球環境への負荷を軽減するグローバル企業であり続けるため、燃費性能や環境性能など付加価値の高い船を提供していく」とコメントした。

 同社は今月23日、三井E&S造船を傘下に持つ三井E&Sホールディングスとの間で、三井E&S造船の発行済み株式数の49%を10月1日付で取得することで最終合意したと発表した。常石造船は互いの設計力、研究開発力、グローバル生産能力などを相互活用し、競争力を強化することで持続的な成長を実現したいとしている。

 環境対応の新船型では、LNG(液化天然ガス)と重油の2元燃料焚(だ)き8万2000重量トン型バルカー「カムサマックスGF(ガス・フューエル)」を開発し、英船級協会ロイド・レジスター(LR)から基本設計承認(AIP)を取得したことを15日明らかにしている。

 造船事業への新型コロナの影響については、営業面ではリモート対応がメインになっているとしている。

 また、常石造船の修繕工場構内で就業する協力会社所属の技能実習生1人が、PCR検査の結果、陽性であることが今月20日に判明。感染拡大防止の観点から、5月5日まで一部を除き常石工場を臨時休業しているが、業績への影響は軽微としている。

 ツネイシHDの20年連結売上高は14%増の2598億円だった。環境事業は5%増の131億円と過去最高を記録した。