内航海運×SDGs -人のサステナビリティー スーパーバナー
 印刷 2021年04月15日デイリー版1面

イラン・イスラエル対立、戦争保険の料率注視。中東配船 影響も

 イラン・イスラエルの対立で中東情勢が緊迫化する中、船舶戦争保険の料率の動向が注視される。戦争保険は、戦争などで受けた船舶の損害や船員の被害を補償するもの。危険な海域に船舶が入るたびに、割増保険料が発生する。現在、英国の保険業界により中東沖の広範なエリアが危険な海域(除外水域)に指定されている。保険料は荷主などの用船者が負担するケースが一般的。今後、料率が急騰すれば航行安全の確保だけでなく、負担増を嫌気する観点から中東への配船を見合わせる機運が醸成される可能性もある。

 「イランとイスラエルの関係悪化で中東はだいぶきな臭くなっている。戦争保険の料率の上昇はまだ顕在化していないが、料率を決定する英国の保険業界の動向を注視したい」

 保険関係者はこう語る。

 近年中東では、イラン・イスラエルの関係悪化が顕著。イスラエル関係船やイラン核施設の爆発事故など、報復の応酬とみられる事案が多発している。対立が深まる中、両国の位置する中東沖へ航行する船舶の戦争保険の料率動向が注目されている。

 船舶戦争保険を巡っては、日本関係船舶への攻撃事件などを受け、2019年8月に料率が急騰。同5月に0・025%だったものが、0・5%へと20倍になった。

 保険料は船体価格に保険料率を掛け合わせ算出される。支払いは荷主などの用船者が負担するのが一般的。料率が急騰すれば、航行安全確保の観点だけではなく、負担増を嫌気する観点からも、中東への配船を見合わせる機運が醸成され得る。

 足元の料率について、別の保険関係者は「中東の恒常的な地政学的リスクを踏まえ、19年8月に0・5%を付けて以降もそれほど大きくは下がっていない」と説明。その上で、「イラン、イスラエルと無関係な一般商船が被害を受けるような事案が発生すれば、料率の上昇は現実味を増すだろう」との見方を示す。

 船舶戦争保険は海難事故などに備えて船主が加入する船体保険の追加オプション、特約に位置付けられる。

 戦争保険では国際的に緊迫した状態にある海域を「除外水域」に指定。中東沖のほか、海賊事件の多発する西アフリカ・ギニア湾なども除外水域に指定されている。