海事アカデミア202104
 印刷 2021年03月11日デイリー版3面

インフォア、製造・物流業のDX促進】 2.SC関係者、統合PF「ネクサス」で協働。7.4万社の実績、変化とリスクに対応

ネクサスのコントロールセンターの画面例。エンド・ツー・エンドのSC情報を直感的に把握できる
ネクサスのコントロールセンターの画面例。エンド・ツー・エンドのSC情報を直感的に把握できる

 コロナ禍によるロックダウン(都市封鎖)で物流が停滞し、生産国からモノが届かない。あるいは小売店に商品を納めようにも、店舗が閉まっている。オフィスからは人が消え、問い合わせても返答がない。昨年、これまで想定していなかった事態が起きた。

 米クラウドERP(基幹業務システム)大手インフォア(Infor)は、前代未聞の事態にあっても迅速に打つべき手を検討、意思決定し、実行するためのソリューションを提供している。「インフォアネクサス」だ。製品のサプライヤー、陸海空の輸送業者、3PL(物流一括受託)事業者、金融機関など社内外のサプライチェーン(SC)の関係者が単一のプラットフォーム(PF)上で情報を授受・集約。各関係者は必要な情報を共有し、協働する。

 これにより、利用企業はサプライヤーとの需給調整を含めた調達、輸送、支払いまでエンド・ツー・エンドのSCを可視化できる。利用企業とサプライヤーなどの連携先が既に運用しているERPやSC計画システム、WMSなどのSC実行システムといったSCMに必要なシステムから、必要な情報をPFに取り込み可能。連携先に情報システムがなければ、エクセルシートのデータを取り込むこともできる。

 ネクサスの前身は、船社のブッキングポータルとして普及していた「GTネクサス」。世界中で7万4000社以上が利用し、4万5000社以上のサプライヤーや工場が連携。グローバル3PL大手の90%も輸送業務に利用している。20年以上にわたって蓄積したデータを生かした分析機能も特長の一つだ。例えば遅延の少ない航路、港湾、ターミナルを抽出し、利用企業はリスクを低減することができる。蓄積された膨大な情報を匿名加工し、ビッグデータとして提供する。

 この実績あるソリューションはコロナ禍でも威力を発揮した。実際に、ある導入企業は製品の滞留状況を迅速に把握し、輸送モードを変更した。別の例では、店舗閉鎖で春夏商品が行き場を失ったため、南半球での販売に切り替えるなど代替措置を講じることができた。

 平時においても、ネクサスを使ってサプライチェーンを抜本的に改善する効果は大きい。米キャタピラーは保守部品のSCMにネクサスを導入し、バッファー在庫日数を3日間削減。運転資本を改善した。スウェーデンのエレクトロラックスは、数百万ドルに及ぶコンテナのディテンション(返却延滞料)とデマレージ(超過保管料)を削減した。このほか、リードタイムの20%削減、生産サイクルの短縮、輸送コストの10%削減、キャッシュフローの可視化、請求書処理時間の98%削減などの事例もある。

 ネクサスでは、主に「製品」「輸送」「ファイナンス・トレード」の枠組みで関係者が協働していく。そのために必要な機能を網羅しており、例えば輸送管理の対象は、グローバルな海上・航空輸送を中心に、トラック・鉄道の陸送領域もカバー。海上輸送では主要船社の95%と接続実績がある。ブッキングやビッドなどに加え、輸送量の調整なども複数のキャリアーや物流事業者と一括して調整できる。

 貨物のトラッキングにはGPS(衛星利用測位システム)情報も活用しており、精度が高い。製品や輸送の発注情報もひも付いているので、遅延の際は遅延の発生している航路情報から輸送の発注単位、個々の製品単位まで詳細情報を展開できる。これまでに蓄積された情報を基に、貨物の到着予測を自動計算することも可能だ。

 情報とデータに基づく意思決定を下支えするのが、ネクサスの意思決定支援ツール。ダッシュボードやコントロールセンターから、全世界の情報を必要な切り口で掌握できる。

 こうしたエンド・ツー・エンドでのSCMの可視化の先には、社内外の関係者を巻き込んだSC全体の変革や新たなビジネスモデルの創出がある。そのソリューションとして、既にネクサスは確立されている。まずは現状の可視化から利用を始め、陸海空の輸送管理、サプライヤーとの需給調整などへと対象を段階的に広げ、DX(デジタルトランスフォーメーション)につなげていくのも有効だ。

(随時掲載)