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 印刷 2021年03月01日別版特集16面

2021年人材特集】業界研究 1.】外航海運業界。コンテナ船、ドア・ツー・ドアで世界貿易の拡大に寄与

横浜港南本牧コンテナターミナルに入港したONEのコンテナ船「ONE COLUMBA」
横浜港南本牧コンテナターミナルに入港したONEのコンテナ船「ONE COLUMBA」

 外航海運におけるコンテナ船は、衣類や電気製品、自動車部品など多種多様な貨物を運ぶ専用船だ。正確に言えば、雑貨から工業製品まであらゆる貨物を鋼鉄製コンテナに詰め込み、そのコンテナを積載するのがコンテナ船であり、こうした輸送システムをコンテナ輸送サービスという。

 コンテナによる輸送は包装費用の節約、貨物の損傷・盗難防止、荷役時間の大幅な短縮、本船スケジュールの順守率向上など、国際貿易の発展に大きく貢献している。

 その特徴としては、天候に関係なく荷役できる点が挙げられる。コンテナ船はいわゆる、決められた港に立ち寄りスケジュールに従って運航している定期船サービスだが、在来船の時代は一部の港を抜港するようなことが日常茶飯事だった。それが雨など気象の状況に左右されず荷役作業を行えることで、海運業でも安定したスケジュールを提供できる画期的なサービスとなった。

 そして、もう一つの大きな特徴は、コンテナは船だけでなくトラックや鉄道への積み替えが容易なことだ。コンテナはサイズが国際規格で統一されているため、コンテナのまま内陸部まで運ぶことができる。これにより、在来船で荷役を行っていた時代に比べ輸送スピードが圧倒的に早くなり、ポート・ツー・ポートからドア・ツー・ドアにシフトした。

 この結果、海陸一貫輸送(インターモーダル輸送)が大きく進展。いまの世界経済の拡大はコンテナ化、すなわちコンテナリゼーションなしではあり得なかったともいわれている。

 英クラークソンによれば、2019年の世界の海上荷動きは合計で約120億1300万トン、前年比1・7%増だった。このうち、コンテナ貨物は18億9400万トンで、海上荷動き全体で見て原油(20億2700万トン)に次ぐ規模となっている。ちなみに1990年のコンテナ荷動きは2億4600万トンなので、30年間で7倍以上に成長している。

 そのコンテナ輸送が初めて登場したのは第2次大戦後の米国で、トラック事業者だったマルコム・マクリーンがコンテナ輸送を発明。一般ではコンテナの父とも呼ばれている。

 大戦後の米国は好景気に沸いて輸送需要は増大したものの、港湾がボトルネックになり円滑な物流が構築できなかった。とりわけトラック輸送事業者にとっては港湾でトラックから荷物を降ろしてまた船に積み込み、別の港に着いたら同じ作業をしていたので、効率が非常に悪かった。

 そこでマクリーンはトラックの荷台、つまりコンテナだけ船に積み込む方式を考案。中古船を購入し、コンテナを船の中でしっかりと固定する装置も開発した。そして、1957年10月、コンテナを積載したコンテナ船がニューヨーク港からヒューストン港への初航海に成功した。これが世界で最初のコンテナ船による輸送となった。

 この初航海から約10年後の66年、マクリーンは国際コンテナ輸送に進出、同氏が運営するシーランド以外の企業もコンテナ輸送に徐々に参入し、あっという間に世界中にコンテナ輸送が広まった。

 67年9月、米国船社マトソンがコンテナ船を日本に寄港。その1年後、日本郵船がコンテナ船を就航させ、日本におけるコンテナリゼーションが始まった。

 工業製品から雑貨などに至る貨物を安全に、そしてスケジュール遅延も少ないコンテナ輸送は荷主の支持を受け、利用が拡大した。日本の高度経済成長だけでなく、00年以降に中国製品が世界を席巻するようになったのも、消費財や部材などのあらゆる品目を各地に迅速に輸送できるコンテナサービスの存在が大きい。

 他方、海運会社にとって、コンテナ輸送は非常な試練となった。従来の在来船輸送では、船舶の品質や船員の技術力(海技力)など他船社と差別化できる要素が多かった。しかし、コンテナ輸送はコンテナを使うことで貨物の安全を図るという特徴があり、どの船会社もサービスが均一化し、価格競争に陥る。さらにコンテナ船の船価は高く、港湾ターミナルやコンテナ機器、ITへの巨額投資により、海運会社にとっては経営体力を消耗させることになった。

 08年時点で世界規模でサービスを提供するコンテナ船社は20社近く存在していた。しかし、リーマン・ショックとその後の海運不況、それに伴う運賃競争がコンテナ船社を直撃。合併や統合、破綻などの再編を繰り返し、現在では三大グループ主要7船社までに集約されている。

 日本のコンテナ船社では、日本郵船、商船三井、川崎汽船の大手3社コンテナ船事業部門を統合したオーシャンネットワークエクスプレス(ONE)が、18年4月からサービスを開始。現在、世界の主要7船社の一角を占めている。

 20年の世界的な新型コロナウイルス感染拡大により、世界の海上コンテナ輸送は一時的に低迷したものの、巣ごもり需要などで荷動きは急回復。むしろ、輸送需要に追い付かないほど荷動きが活況となり、世界的にコンテナが不足する事態となっている。コンテナ不足はいまニュースなどで取り上げられているが、それだけコンテナ輸送がわれわれの生活に欠かせない存在といえるかもしれない。

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