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 印刷 2021年02月08日デイリー版2面

MariTech 海事未来図】アイディアと東京計器、船主のDXを支援。「Aisea」3年内2000隻導入へ

「Aisea」を搭載した本船。内航貨物船を中心に約100隻の採用実績がある
「Aisea」を搭載した本船。内航貨物船を中心に約100隻の採用実績がある

 船舶動静共有システムの開発などを手掛けるアイディア(東京都渋谷区、下川部知洋社長兼CEO〈最高経営責任者〉)は、同社が提供する船舶の運航管理をデジタル化する「Aisea Pro(アイシアプロ)」の販売などで、舶用機器大手の東京計器と業務提携した。アイシアプロは安全性の向上や業務効率の改善に寄与することが評価され、内航貨物船を中心に約100隻の採用実績がある。下川部社長は「船主のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援し、今後3年で2000隻への導入を目指す」と語る。

 アイディアは船舶の安全運航や運航管理業務の効率化を目的に、海事産業向けIoT(モノのインターネット)プラットフォーム(PF)として「Aisea(アイシア)」を運用している。

 同プラットフォームを利用したAisea Proは法人向けのサービスで、船陸間を情報通信技術(ICT)でつなぎ、海上の本船の安全運航を支援することに加え、陸上の運航管理業務の省力化もサポートする。

 アイディアは昨年8月にAisea Proの最新版をリリース。資本業務提携している東京海上日動火災保険と共に、船主など向けの営業活動を本格化させた。

 船員などの人材不足や頻発する衝突事故などを背景に、Aisea Proを採用する船主が増加。アイディアの持つリソースでは顧客ニーズに応えることが難しくなっていた。

 そこで各種航海計器や無線・通信機器の開発・製造を手掛け、国内外にまたがる充実したサービスネットワークを有する東京計器と、Aisea Proの販売とサービス業務で提携することを決めた。

 アイディアはAisea Proの最新版に、東京計器が独自開発した衝突危険範囲(DAC=Dangerous Area of Collision)の技術を採用している。それらの協業関係が今回の業務提携に発展した。

 東京計器の野中孝夫事業戦略室長は協業に至った経緯について「お互いの技術を掛け合わせれば、大型船舶とAIS(船舶自動識別装置)を搭載していない小型船舶間の衝突事故を防止し、安全運航管理に寄与できるのではないかと考えた」と語る。

 Aisea ProにDACを実装することで、画面上に他船との衝突の危険エリアを表示し、危険度の高い順に色分けを行う。それにより特に輻輳(ふくそう)海峡での避航操船をサポートし、操船者の負担軽減を図る狙いだ。

 両社は今後、顧客ニーズの高まりに対応するとともに、機器の品質向上や性能アップも検討していく。船主からは「船陸間でやりとりするデータを増やしたいという要望も受けている」(アイディアの浮田尚宏取締役COO〈最高執行責任者〉)という。

 アイディアと東京計器は、以前から自律運航分野にも取り組んでいる。

 アイディアは三菱造船が取りまとめ役を担う無人運航フェリーの実証実験に参画。無人運航の核となる陸上監視システムの開発を担当している。

 一方で、東京計器は日本郵船が主導する内航コンテナ船の無人運航プロジェクトに参画。DAC技術を基に、避航および着桟操船のアルゴリズムの開発を継続している。

 アイディアは同社が提供するAiseaが自律運航のプラットフォームとしても有用と考えており、東京計器などのパートナーと連携し自律運航技術の確立を目指す。