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 印刷 2021年01月28日デイリー版4面

記者の視点/浅野一歩】綱渡り続く物流、日常支える存在、広く伝える

 新型コロナウイルス感染症の感染拡大は2021年も収まりそうもない。

 感染防止のためリモートワーク環境が整備されたことによって、ウェブ会議アプリ「Zoom」(ズーム)や「Teams」(チームズ)を介したオンラインでの取材が増えた。在宅勤務が拡大したことで、電話で確認を取る際も、それぞれの携帯電話にかける場面が増えたように思える。

 部屋に居ながらにして情報を集め、自身の仕事を行える今は確かに便利だ。何より満員電車に詰め込まれて通勤する機会が減ったのは大きい。

 足りないものがあれば、アマゾンやウーバーなどを通じて注文すればすぐに届き、趣味で集めているカメラのアクセサリーや鉄道本も、外へ行くことなく手に入る。

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 その一方で、こうした便利さを支える物流は綱渡りの状態が続く。

 今冬、日本を取り巻く海上輸送は▽船員交代の停滞による乗船長期化▽コンテナ不足と港湾混雑による物流の混乱▽暖房需要の急上昇とパナマ運河での滞留によるLNG(液化天然ガス)船の払底▽石油火力発電所へ重油を輸送する内航黒油タンカー不足―といった事態に直面した。

 特に発電燃料として使用するLNGの不足は、電力需給の逼迫(ひっぱく)を招いている。東北電力、北陸電力、関西電力の各管内では一時的とはいえ、電力使用率が99%に達した。

 こうした状況の中、電力の需給調整を担う電力広域的運営推進機関(OCCTO)は6日、東京電力と関西電力管内の事業者に対し、「発電設備を最大出力で運転すること」を指示。一方、家庭や企業など需要者に対しては、電気事業連合会が10日、節電の協力を呼び掛けた。

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 日本は海外から原材料やエネルギー資源などを輸入し、機械や車などを輸出する経済構造だ。貿易量において海上輸送が占める割合は99・6%。LNGも98%を輸入に頼っている。こうした物資を運ぶ船舶は、コロナ禍の中でも航行を続け、私たちの生活を支えている。

 しかし、海上物流が大きく注目を浴びる機会は少ない。今回の電力危機も、陸上におけるLNG備蓄の問題や、太陽光発電など再生可能エネルギーの能力不足という話で終わってしまうことを危惧している。

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 ツイッターアカウントである日本海事新聞写真部(@kaijiphoto)でこうした海上輸送の問題についてツイートすると、多くの「リツイート」や「いいね」といった反応が返ってくる。ユーザーを見ると海運・造船関係者と思われる人も多い。

 21年も記事を通じ、日常と密接に関係する海事産業の今をより広く伝えていきたい。