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 印刷 2021年01月12日デイリー版1面

政府、外国人船員 入国認める。緊急事態宣言下も。海運関係者、安堵の声

 政府は緊急事態宣言下でも、これまでと同様に「特段の事情のある外国人」として外国人船員の入国を認める方針を決定した。国内での新造船の引き渡し、船員交代が引き続き実施できる環境が維持され、海運関係者からは安堵(あんど)の声が上がっている。一方、新型コロナウイルスの感染防止のために、外国人の新規入国の全面停止を求める意見が与党議員からも出ており、外国人船員の入国を巡っては予断を許さない情勢が続く。

 政府はコロナ禍でも、外国人船員については「(乗員上陸に関する)特段の事情のある外国人」として昨年来、入国を認めてきた。7日に緊急事態宣言が再発令されたが、政府は引き続き外国人船員への対応について従前の方針を維持し、入国を認める方針だ。

 出入国在留管理庁関係者は「世界からの新規入国を全て止めることを求める機運もあるが、『特段の事情のある外国人』として船員の入国を認める方針に現時点(8日)で変更はない」と語る。

 国土交通省の大坪新一郎海事局長も「日本の貿易の9割以上を担う海上輸送を止めてはならない。そのためにも円滑な船員交代は必要。関係省庁と今後も連携していく」と外国人船員の入国の必要性を指摘した。

 入国に際して船員らは、出国前72時間以内に受検した、感染の有無を調べる検査の陰性証明書を提出する必要がある。

 昨年12月下旬以降の全世界を対象にした新規入国停止策の例外として、中韓を含む11カ国・地域からのビジネス関係者の入国が認められているが、「特段の事情のある外国人」はそれとは別の区分になる。同区分には船員のほか、航空機の乗務員らも含まれる。

 外国人船員の入国が引き続き認められることを受け、海運関係者からは安堵の声が上がった。外国人船員の入国が認められなければ、国内での新造船の引き渡しや船員交代が一層難航することが予想されたためだ。

 船舶管理会社の関係者は「(船員の入国が認められなかった場合)船員交代も停滞するだろうが、それ以上に新造船の引き渡しへの影響が大きいものとなっただろう。船員交代は最悪の場合、日本が駄目でも別の国で行うことが可能だが、新造船の引き渡しは建造造船所でなければ不可能だ」と述べた。

 日本船主協会幹部は今回の政府の決定に歓迎の意を表明。その上で、「船員交代は安全航行のために必須。日本の経済安全保障を考える上でも外国人船員の入国は今後も認められるべき」と訴える。

 その一方で、7日の自民党の会合では、外国人の新規入国の全面停止を求める声が相次いで上がった。出席した議員は「(新型コロナウイルスの)変異株を止めないといけない。緊急事態宣言下において外国人の入国が続けば感染拡大は止められない」と警鐘を鳴らす。こうした与党からの反発が、今後の水際対策にどれほどの影響を及ぼすのか注視される。