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 印刷 2021年01月12日デイリー版5面

ニュース深読み/行政】海運業 21年度予算案重点項目、デジタルとグリーン推進へ

 デスク 政府は昨年末に2021年度予算案を決めたが、どのような内容となっているかな。また、国土交通省海事局の予算案についても教えてもらいたい。

 A 今回の予算案は21年度予算案と20年度第3次補正予算案の一体で、「15カ月予算」と位置付けています。全体の歳出規模は一般会計で120兆円に上りました。

 B 今回の予算案の特徴はデジタルとグリーン、そして新型コロナウイルス対策などの費用が盛り込まれたことです。特にグリーンでは、菅義偉首相が昨年10月に「50年までに温室効果ガス(GHG)の排出量を実質ゼロにする」との目標を掲げたことで、脱炭素化に向けた事業にも手厚く予算措置がなされました。

 C 海事局の予算案は15億3600万円(うち3次補正23億8200万円)を計上しました。この中には、予算の大半を占める海技教育機構(JMETS)の経費72億8300万円(同30億300万円)が入っています。

 海事産業の競争力強化関連は、21年度予算案と3次補正の総額で27億円となりました。これは今年度予算の3・5倍に当たります。

 デスク この中の主な事業は。

 A アフターコロナ時代を見据え、船舶産業のサプライチェーン(供給網)の最適化を進める費用を計上しました。具体的には、造船所のデジタルトランスフォーメーション(DX)によるサプライチェーン全体での造船プロセスの最適化について効果を検証します。さらに、造船会社の事業再編に関する計画を支援し、産業全体の生産性向上を後押しする目的もあります。

 B 海事分野の50年のカーボンニュートラルの実現に向け、GHGを排出しない「ゼロエミッション船」などについて、複数の事業者が連携して取り組む技術開発も支援します。特に、技術のトップランナーを中核としたシステムインテグレーターを育成し、造船・舶用など関連企業の集約・連携を加速させ、日本の造船業の国際競争力を強化する狙いがあります。

 C このほかにも、新規項目として官公庁船を海外へ売り込むための費用も盛り込みました。海外輸出に向けた取り組みや技術協力、人材育成に向けたパッケージ案件の提案を目指し、市場調査などを行います。

 A また、他省庁と連携した補助金も活用します。資源エネルギー庁連携予算では、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)などを活用したさらなる輸送効率化推進のための補助金が利用でき、革新的省エネ船の普及促進を支援します。

 B これに加え、環境省連携予算として社会変革と物流脱炭素化を同時に実現する先進技術導入促進事業を活用し、LNG(液化天然ガス)燃料システムなどの導入促進を支援します。