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 印刷 2020年12月28日デイリー版1面

中国発日本向け、華南→上海 陸送増加。運賃差拡大、競争力高まる

 中国発日本向けの輸入物流で、華南発貨物を華東地区まで陸送し、上海港でコンテナ詰め、船積みする動きが増加している。香港や、深圳など華南港発運賃が高騰し、陸送費込みでも上海発の輸送コストの方が競争力が高まっているからだ。また、珠江デルタと香港を結ぶバージサービスが、船員交代の問題から来年以降一時停止する見通し。華南発コストの上昇が予想され、上海シフトが後押ししそうだ。

 日中航路に強いある日系フォワーダーによると、コンテナ不足を背景に、華南港発日本向け運賃は40フィート型で3000ドル超―4000ドル台まで上昇している。また、「市場水準の運賃を払うと言っても、コンテナを確保できないこともある」(同フォワーダー)という状況だ。

 一方、上海発は2000ドル未満に収まっており、コンテナも華南より確保しやすいという。中国国内の陸送コストや諸チャージを含めても、現時点では上海経由の方がコスト競争力がある。また、上海発であれば高速フェリーなど輸送モードも多様で、華南発に比べて頻度も高い。高速引き渡しを確約する輸送商品HDS(ホットデリバリーサービス)などにも対応可能だという。

 上海発日本向けもコンテナ不足などの状況は華南港と同じだが、運賃上昇は華南港発に比べて緩やかだ。上海港積みでは2017年から、船社間の過当競争を危惧した中国政府により、各船社に対する積み取り制限を導入され、運賃が乱高下しにくい環境にある。

 華南港ではこうした制限はない。サービスも中国船社による日中シャトル便だけでなく、基幹航路の一部を使うサービスもあるため、規制しにくいのが実情。この結果、運賃高騰に歯止めがかからず、上海港発との運賃差が拡大した。

 前述のフォワーダーは「中国国内の陸送と、上海発のスペースを適切に確保できるかがカギ。状況に応じて輸送ルートを組み立てられるかどうかがフォワーダーの腕の見せどころだ。顧客もサプライチェーンを支えてくれる物流業者をパートナーとしたいため、起用業者を切り替える動きも出ている」と語る。

 香港と珠江デルタを結ぶバージ輸送が、来年1―2月にサービスを停止することも、華南発の物流ルートに影響を与えそうだ。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、内航船員も交代時に一定の隔離期間が必要となり、現地の運輸当局が旧正月前後のサービス停止を指示した模様。

 低コストのバージ輸送が使えなくなれば、トラック輸送に切り替えざるを得ない。ただ、香港経由の場合は香港―中国本土間の相互乗り入れが可能なダブルライセンス車両を手配する必要があり、輸送コストは一気に跳ね上がる。上海港経由のコスト競争力が、さらに高まりそうだ。

 ただ、国内陸送に適さない貨物もある。華南から上海までの輸送は一般のトラックにばら積みされるが、機械類や家具類などはコンテナ積みを前提にサイズが設計されていることも多く、工場などからの出荷時にコンテナ詰めが必要となる。輸送振動などばら積みでのカーゴダメージのリスクもあり、品目によっては運賃が高くても華南港積み以外に逃げ場がない場合もあるようだ。