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 印刷 2020年12月25日デイリー版3面

東京港、長期構想検討委が初会合。木戸・ONEジャパン社長「国内外との競争重視を」

初会合の模様
初会合の模様

 東京都知事の諮問機関、東京都港湾審議会は24日、東京港の第9次改定港湾計画に向けた「長期構想検討部会」の初会合を開催し、外貿コンテナ取り扱い機能など5項目で向こう20年を見据えた、東京港の目指すべき将来像、検討の視点を提示した。初会合では、臨時委員として参加しているオーシャンネットワークエクスプレス(ONE)ジャパンの木戸貴文社長が、国内外の港湾との競争力強化を重視し、荷主に選ばれ荷役効率の高い港湾を志向することを利用者の立場から要請。他の委員からも国内最大のコンテナ港湾である同港が、混雑問題や先端技術の導入など直面する課題を乗り越えていくことを求める意見が相次いだ。

 初会合では、長期構想の基本理念を「進化し続ける未来創造港湾」とし、物流(外貿コンテナ)、同(内貿・在来)、防災・維持管理、環境、観光・水辺のまちづくり―の5テーマに分け検討していく案が示された。

 このうち外貿コンテナ分野では、ターミナルゲート前の交通混雑問題、物流諸手続きの電子化の立ち遅れ、バン・シャーシプールの港内点在、臨海部に集積した倉庫の老朽化―などの課題が示された。

 同時に取り巻く情勢の変化として、急速なコンテナ船の大型化とアライアンス再編による基幹航路の寄港地絞り込み、アジア貨物の急速な増加、世界のコンテナターミナルの自動化やIT化の進展、労働力不足の深刻化―なども列挙された。

 これに対し木戸氏は、「港湾への貨物集積=競争力が、船社から見た港湾の魅力なので、競争力強化の視点が欲しい」などと指摘。松川一裕・ダイトーコーポレーション社長も「東京港の競争力と京浜港の競争力は違う」と発言し、目標設定の明確化を求めた。港湾空港技術研究所の吉江宗生特別研究主幹はシンガポール港での先端技術導入の動向などを事例紹介し、東京港としての対応強化を提唱した。

 部会は合計8回の開催を予定し、2022年2月にも都港湾審が最終答申する予定だ。

 3氏の発言要旨は次の通り。

■木戸氏 コンテナ船社から見た港の魅力・競争力は貨物集積であり、集積は国内外のターミナルとの競争となるので、長期構想にも競争力強化という観点が欲しい。ONEの運航船は年間世界中で1万6000回寄港しており、港の荷役効率が上がり停泊時間が短くなることも船社にとって大きな魅力となる。輸入港である東京港はコンテナがターミナルに滞留しがちで、限られたスペースの有効活用が必要。船舶へ新エネルギーを安全・安価に供給できるかもポイントとなる。

■松川氏 京浜3港連携の考え方を継承するのかは、検討のスタートに当たり非常に重要。東京港の競争力と京浜港の競争力は違う。また羽田空港の20年後の姿をどう捉えていくのか、港湾空間の物理的な関わりを頭に置く必要がある。

■吉江氏 現在シンガポール港では「デジタルツイン化」の導入が進んでいる。これは、コンテナ貨物のリアルな動きを基に、向こう数時間、数日、1カ月先の港湾物流の動きを予測して柔軟に対応できるようにするシステム。東京港に関しては、荷役機械や港湾施設にセンサーを組み込み、港湾物流を概観できる先端機能をIoT(モノのインターネット)を駆使して実装する方向性が考えられるのではないか。