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 印刷 2020年12月18日デイリー版2面

匠かんさい】(47)極洋電機、艤装品分野で技術力発揮

本社社屋と同社スタッフ
本社社屋と同社スタッフ

 1956年に創業した極洋電機は、大阪や神戸に寄港する船舶向けのメンテナンス部品や電機消耗品の販売から事業を始め、業容を拡大していった。いまは監視カメラシステムやテレビ放送受信システム、船内放送システムといった映像・音声システムの設計開発、技術サポート、メンテナンス工事といったエンジニアリングの領域で一気通貫型のサービスにも力を注ぐ。

 エレクトロニクスは専門性が必要な分野だ。同社で舶用品の商社ビジネスは、いまも売り上げ構成比の半分近くを占める。「これは脈々と続いている当社のコアビジネスとなる」と、神谷鉄平社長は説明する。

 船用品の商社ビジネスでは、顧客自身で仕様が特定できないものを選定し、迅速に納めることが求められる。それができるようになるためには、資質や経験が必要だ。決して簡単なビジネスではない。

 一方、例えば電気制御機器の納入といった分野では、メーカーの代理店ビジネスにとどまりがちだ。そこで同社は近年、船舶用艤装品分野で設計・エンジニアリング力を発揮し、自社ブランド製品やサービスの強化に努めている。

 そのためには、設計・エンジニアリング力の向上が必須。対応策として、同社は2019年に新たに設計・エンジニアリンググループを立ち上げた。業界で25年の経験を有するベテラン社員をリーダーに据え、業務に取り組む。

 自社、他社それぞれの製品を用いてシステムを組成し、それを据え付け・調整し納入する設計・エンジニアリングは「まさにSI(システム・インテグレーター)的な業務」と神谷社長は語る。その技術力は、得意とする官公庁船の分野で強みを発揮している。

 その一例として、同社は取り締まりなどで運用する船舶に監視カメラシステムやスピーカーシステムを納品した。これらは標準製品とは違い、細かい操作の部分まで用途に合わせて作り込んだもの。顧客の要望をひもとき、仕様を決めてメーカーに発注する。

 艤装品では、他にも船舶用電話システム、船舶用時計、自社開発のチューナーを用いたテレビ放送システムをはじめ、商品・サービスの幅を広げてきた。

 設計・エンジニアリング面のテコ入れとともに、企業力向上にも余念がない。19年に実施した組織変更では、企画グループも新設した。同グループはマーケティングや新商品開発、展示会対応、アフターサービス管理などを幅広く担う。

 従来は、顧客カテゴリーごとの営業グループによる縦割り構造で、業務面での連携は、倉庫業務といった川下部分での交流にとどまっていた。これに対し、企画グループは組織の川上部分に横串を刺した。組織変更と同時に職務分掌規定で役割を明確化、社員の業務への自覚化を促した。

 また同社は、神谷社長が就任した16年に事業運営基本方針を策定し、取引先との関係性と範囲拡大を提唱した。その具現化に向け新規開拓や新規事業立ち上げ、社員数の増加を進めている。

 直近では、アフターサービス事業化への取り組みや資格手当制度創設、健康経営優良法人認定、「KYOKUYO VALUE(クレド)」策定といった施策を次々と打ち出す。新たな自社ブランドの商品企画も進行中で、さらなる飛躍につなげていく方針だ。

(第1・3金曜日掲載)

 【会社概要】創業=1956年5月→設立=66年6月→資本金1000万円→代表取締役社長=神谷鉄平→取締役会長=神谷研史→本社=大阪市西区千代崎1―19―1→電話=06・6581・5815→事業内容=船舶用照明器具・電路器具の設計・販売、船舶用テレビアンテナの設計・製作・施工、映像・音響・情報通信システムの設計・製作・施工、船舶保守電機部品の販売、電気制御機器の販売